賛美歌

□花占い
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「綺麗な街だな…」
任務の帰り道に訪れた街は何か祭でもあるのだろうか、所々に花が飾られていた。
「…匂いが甘ったるい」
「ハァ?良い匂いじゃねーか、俺は好きだぜェ」
門に道に壁に店に花々華々。
まるで街が花のようで飛段ははしゃぎ始めた。
「おい…それは止めろ」
飛段が街頭で配られている花を頭につけ始めた所でさすがに角都が待ったをかけたが、全く聞いていないのか、それとも花をつける事に夢中なのか、結局銀髪には淡いピンクの花は揺れている。
「…馬鹿が」
普通の恋人同士ならば可愛いだの合ってるだの言うべきなのだろうが、生憎男同士…。
飛段が女だったとしても褒めないだろうが、その考えは浮かばなかったようだ。
「外せ飛段」
「やだ」
不機嫌そうに軽く舌を出すと飛段は素早く逃げだし持ち前の人懐っこさで、頭に花を飾った女達に話しかける。
「なぁ、この街って今、祭の最中なのか?」
飛段の姿を見て女達は一瞬驚いたようだが、すぐにニコヤカに説明し始めた。
「この街の姫様が婚約の相手を決める儀式をするの、だから賑わっているのよ」
「儀式には花を使うの、だから花で街を飾り、姫様が良いお方と婚約できるように皆で願うの」
説明を終えると黄色い花を付け方の女が飛段が頭に付けている花を指差す。
「儀式に使うのはね、その花なの、恋占いにも使われるから…好きな人でやってみたら?」
恋占いと聞きチラリとやや離れた所にいる角都を見る飛段。
「どうやるんだ?」
恋人同士で恋占いなんて無意味かもしれないが、興味を持った飛段は止まらない。
「花びらを、好き、嫌い、好き、って交互に言いながら一枚一枚抜いていくの、最後の一枚で恋の相手が自分の事をどう思っているか分かるの」
「へぇ…」
飛段は早速頭に付けている花を一つ取る。
よく見るとこの淡いピンクの花は花びらが多く、恋占い向きである事が分かった。
「んじゃ、早速…!?」
一枚目の花びらを掴む、それと同時に後ろから誰かにコートの襟を掴まれた。
「いい加減にしろ飛段…宿が混む」
祭があるならば当然、宿は混む。
特に安い宿は混みやすい、だから角都が苛立っているのだが…飛段は分からないようだ。
「なっ、離せよ!角都ゥー!!」
驚いている女達を尻目に角都は猫を運ぶように飛段の首根っこを掴むと問答無用で宿がある方向へと向かった。



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