-弐
□雨々降れ々
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雨が降り注ぐ道中。
傘も差さずに道を行く飛段の姿。
雨により銀髪は流れ乱れ、水を吸ったコートはより黒い色になっていた。
後ろからは合羽着たうえに傘を差すという重装備の角都。飛段用の傘を携えてついていく。
「…そろそろ戻るぞ、飛段」
馬鹿は風邪をひかないというけれど、流石に心配になり注意をするが飛段は聞く耳を持たない。
「ヤダァー、…お!カエルだー!ゲハハハッ!!」
カエルを追いかけ泥塗れ。
角都は怒ろうかと思ったが、あまりの汚れように呆れ、怒る気を失った。
溜息をつき、軽く目を閉じると至近距離で「ゲコッ」と泣き声が聞こえた。
目を開けると、飛段に掴まれているため、不機嫌が理由で頬を膨らませたように見えるカエルと、はしゃいだ事により頬を赤く染めた飛段の姿。
「角都ゥー、カエルって食えるかァ?」
飛段の子供のような質問と表情を見て素直に可愛い思った角都は僅かに笑い、カエルを手に取った。
「唐揚げにすると美味だ…作ってやるから、もう帰るぞ」
「なぁ、もしかして…カエルと帰るでギャグったつもりか?」
ひじ鉄くらって泥にめり込んだ飛段を笑うかのように、今夜の夕食の材料がケロケロ鳴いた。
END
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