と宝物

□子連れS級犯罪者
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暁本部、飛段の自室。
掛け布団を蹴り飛ばし、お腹全開で爆睡する飛段が居る。夢の中では大好きなスペアリブを頬張り、ご満悦な表情を浮かべている。
その夢に侵入者が現れたのはスペアリブを半分程食べ終えた頃だった。

「よーす、飛段。元気か?つか、不死身だから元気だよな」

聞き覚えのある声を聞き、頬張りかけていたスペアリブを皿に落とすように置き振り向くと、そこには…

「ジャシン様ァ!マジ久しぶりっすね、ホント!」

長めのパサついた黒髪に黒スーツ、そして飛段と同じペンダントを付けているジャシンが立っていた。

「おー、不死身にして以来だよな。つーか、スペアリブ美味そう……じゃ、ねーよ。今日はさ、オメーに頼みがあんだけど聞いてくれるよな?」

「もちろんですよ、ジャシン様ァ!なんでも言って下さいですよォォ!」

飛段は勢いよく立ち上がり、椅子が倒れたが気にせず、その場にひざまづいた。

「マジ?サンキュ。あーと、先ずは説明しねーとな、めんど。あのな、俺の超美人な嫁が糞天界ヤローに殺されちまってよ。なーんで殺されたかって言うと、嫁は自分と周りの気配を消す術使えたからなんだよ。嫁を殺れば俺の気配分かるだろ?超ヤベーんだよ。嫁を殺れた事の方がヤベーけどな」

軽い口調で説明をしているが、よく見ると目が笑っておらず、暗い色を宿している。俺も角都がいなくなったら、こういう風に明るく振る舞いながら悲しむんだろうな。飛段は溢れそうになった涙をグッと堪えた。

「そんでだ。隠れらんねーから戦う事にしたんだよ。けど、ガキどもは弱いし逃げれねーしでヤベーんだよ」

「ガキ?」

「俺の子供。双子で超可愛い、跡取りだ。つーわけでガキどもがヤベーからしばらく預かってほしいんだよ」

「へ?」

「他の信者だと、奉ったりして布施集めそーだけどオメーなら大丈夫そうだからよ。信用してんだぜ?なんせ俺が唯一認めた奴だからな」

「ジャ、ジャシン様ァ…。俺マジ超スーパー頑張ります!ドーンと任せて下さい!」

「お、じゃあ朝起きたら居るようにしとくな。あと、相棒のあいつ…カ…カ……カ、なんとか。守銭奴の奴。あいつが五月蝿くないように金銀も送っとくからな。余ったやらやるから」

「流石ジャシン様!そこまで考えるなんてスゲーっすよ」

「ははん、当たり前だろ?じゃあ、よろしくな」

手を振り、地面浮かび上がったジャシンマークに沈むジャシンを見送る。
完全に消えると、夢の世界が徐々にぼやけていった。





「んが?」

夢から覚め、起き上がる。ポリポリと銀髪を掻き欠伸を一つもらしていると、モゾッ…と近くで何かが動いた。
布団に大きめ膨らみを見つけてめくる。そこには黒髪に赤い肌の子供と白髪に青い肌の子供がいた。二人共、一歳くらいの年頃に見える。

「あ?………俺が産んだ?」

混乱気味に子供をマジマジと見ると、小さなジャシンペンダントをつけているのに気付いた。それと近くに大きめのツヅラがあった。

「あー!そうだった!えーと…俺がお守りするんでよろしくお願いします!」

「んぶ?」
「あうー?」

頭を深々と下げる飛段を見て、二人はキョトンと首を傾げた。


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