と宝物

□ディープキス
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「オレのこと、愛してる?」

「ええ…当たり前
じゃないですか。」

「だったら…ちゃんと言え。」

漆黒の目が潤んでいる。
嗚呼、綺麗だ…と
鬼鮫は思う。

容姿も技術も
神から授かったとしか
言えないほど、
この恋人は完璧だった。
こんな醜い自分と
こんな間柄でいいのかと
思い悩んだこともある。



それでも、
この人にとって恋人は
私ただひとりだ。



「ありがとう。」

そう言って鬼鮫の広い肩に
寄り添うイタチは
あまりに美しい。



壊したい。

壊して汚してしまいたい。

霧隠れの里に生まれたせいか、
名のごとく
鬼のように
鮫のように
獲物を捕らえたい…
そんな性なのかは分からない。



イタチを、壊したい



「…イタチさん」




「…んぐぅ!?」

その唇を奪った。

嗚呼、なんて甘い。
男とは思えないほど
柔らかくて甘いではないか…

「…っ、」

もっと、汚したい

もっと、歪ませたい

もっと、もっと…

「…はぁ…んむぅ…」

鬼鮫の舌が咥内を犯す。
クチュクチュ、という
水音が耳を犯す。
息苦しさと快楽に
赤くなるイタチ。

くちづけはあまりに深く、
2人の顎に混沌たる
涎が伝うまで、
互いの舌を貪っていた。



「…ぷはっ!」

息苦しさに唇を離した。
ククク…と笑う鬼鮫に
イタチは漆黒の目で睨む。

「睨まないでくださいよ」

「…はじめてなのに…」

「おや?ファースト
奪ってしまいましたか?」

「当たり前だ!!
しかも相手はこんな
鮫肌男なんだぞ!?」

「悪かったですね。
どーせ私は人外ですよ。」



イタチの頬に手を添える。
甘えるように
手にすり寄る恋人。



「そんな鮫肌男に恋した
アナタが悪いんですよ」



そう言ってもうひとつ、
触れるようなキスをした。



END



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