ペルソナ

□片思い
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暁本部に戻って来たあの人をこっそりと見つめる。
相方の角都先輩にばれないように。

…今日も綺麗だな。
好きです、飛段先輩。
でも飛段先輩は角都先輩の恋人。
飛段先輩はいつも角都先輩の事しか見ていない。
大好きなんですね、分かりますよ、俺だって恋してる最中ですから。
角都先輩…格好良いからな…。
対して俺は指紋マン…。
勝ち目はない。
分かってるんだ。
でも…。

「飛段先〜輩!」

声をかけたくなっちゃうんだ。
角都先輩が離れた時だけしか話せないんだから、今話さないと!

「お、指紋マン」

そんな呼び方でも、まだ正式な暁メンバーじゃない俺を呼んでくれるのが嬉しい。

「その呼び方止めて下さいよ〜、俺の名前は…」

「トビだろ、分かってるよ」

ぐはっ!
キュ、キュンときた。
良かった仮面被ってて…多分俺の顔は真っ赤になってる。

「先輩…好きです」

「あのなぁ…それ何回目の告白だよ、無理だぜ…俺には角都がいんだからさ」

分かってますよ、嫌ってほどね。
でもこの思いは断ち切れない。

「…好きなんです」

「無理だって」

「俺だったら…他の物、お金よりも飛段先輩を大切にしますよ?」

そう言ったら飛段先輩はニヤリと笑った。

「角都だってな、口では金の方が大事だって言ってるけど…本当は俺の方が大事なんだぜ」

「本当に?」

「本当だ!」

「なら、なんで飛段先輩の事を殴るんですか?」

今飛段先輩の目許には殴られた痕がある。
折角の綺麗な顔に赤い痕…。

「これが愛の印なんだよ…ガキんちょには分からねぇよ」

分からないですよ、そんなの。

「…俺の方が大事にするのに」

「俺は大事にされたくない…壊して引き裂いて無理やり犯されて…いつか角都の腕ん中で死にたい」

分からないですよ…ほんと。
なんでこんなに狂気なのに美しいんだろう?

「でも…諦めませんから、俺」



End



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