=弐

□可愛いペット
3ページ/3ページ





ご飯は海老でした。海老は大好物です。

「鬼鮫はエビが好きなんだな」

蟹も好きですよォ。

「もう一個食べるか?」

いえ、もうお腹いっぱいなので結構です。
…海老が一匹落ちてきました。
どうやら言葉が全く分からないようですねェ。
私達は人間の言葉が分かるのに、何故人間は私達の言葉が分からないんでしょうか…。

「食べないのか?」

ああもう食べますから、しょんぼりしないで下さい。

「いっぱい食べて早く大きくなれよ、鬼鮫」

…げふ。
お腹が苦しくて、動けないので、しばらく力を抜いて漂ってます。

「あれ?元気がないな…」

そう言うと、手を入れてツンツンしてきました。
止めて下さい、止めて下さい。貴方は軽く突いてるつもりでも、私は結構痛いんですから。

「鬼鮫?」

痛っ、痛い、痛いって言ってるでしょうがァ!!

「うわっ!!」

軽く噛んでやりました。子供なら何をしても許されるわけじゃないんですからねェ。

「…鬼鮫……ごめんね、ごめんね、嫌わないでくれ」

…泣き出してしまいました。
水面に涙が落ちて、綺麗な波紋が出来ます。何個も何個も。

仕方ないですねェ。
嫌ってないと伝えるために水面に顔を出します。
言葉が通じないので、代わりに頬擦りをしましょう。
水槽の淵に寄り掛かり、体を伸ばします。

「っわ!」

…的が外れて、口と口がぶつかってしまいました。私の鋭い歯が当たってないか心配です。

「あ、ありがとう…鬼鮫」

どうやら歯は当たらなかったようです。でも様子がおかしいんです。
この人はなんで、少し赤くなっているんでしょうか。やはり人間はよく分かりません。
この先上手くやっていけるのか少し不安です。
でも…。
人間のわりに可愛いし、少しづつですが本を見て学んでいるようなので、我慢しましょうかねェ。


「仲直りに良い物をあげる」


…海老が落ちてきました。



やはり不安です。


.

前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ