RE-Short

□とりあえず全てが、
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「あ、あのね…お兄ちゃんの誕生日プレゼント何が良いかって迷ってるんだけど…」

「了平さんかぁ…うーん…」


と、相談してきたのは私の友だちの京子。初めて知ったんだけど8月26日は京子のお兄さんの了平さんが誕生日らしい。
確かに、獄寺くんとかならシルバーリングで山本くんならスポーツタオルとかイメージは湧くんだけど…あ、ツナは前に欲しいって騒いでたゲームとかでいいかなって感じ。
でも了平さんって何がいいのかな…


「ほしいものある?って訊いたら”俺が欲しいのは極限のみだぁぁああ!”…って叫んでて…」

「ちょっと、京子がそれ真似しないでよ…」


あまりにもリアルすぎた…。
京子可愛いから、その容姿で了平さんみたいな声を再現するとギャップのせいで逆に怖い。
それにしてもあの人は極限しか言わないんじゃないか?極限なものって…
極限……キョクゲン…きょくげん…。


「そうだ!」
「え、何か思いついたの?」
「字が上手な人っていない?」
「うんとね、花とかかな…」


そうと決まったら行動開始。花も交えて内容を伝えると『いつもあいつ極限って煩いから面白いわね』と花も納得してくれた。
といってもこれだって"極限"だから何の問題もない(捻くれてるけどねぇ)


次の日、丁度休日だったため私は花と合流してから笹川家へ向かった。本当は京子がもっと早く教えてくれたらもう少しまともなプレゼント作れたかもしれないけど。
まぁ、たぶん京子はすっかり忘れてたのって言いそうだからあえて訊かないんだけどね。


「京子ー!了平さーん!いますかー!」
「あ、おはよう!」
「おおう、今日は来るのが早いな!一緒にロードワークするのか?」
「んな…まさか…」
「今日はお兄ちゃんの誕生日だからプレゼントをみんなで作ったの…」


はい!、と渡したのは少し大きめな額。(これ結構高かったんだから!)
で、そこに入っているのは2文字の豪快な単語。
了平さんにあげるものだから言わずともわかるかもしれないけど、極限なものっていうことで、花に 極 限 と書いてもらった。
なんかあまりにもダイナミックな書き方をするものだから、京子と私は日頃のストレスをこれにぶつけているんじゃないかと勝手に解釈したのだけどね。


「おめでとうお兄ちゃん!」
「ていうかこれで喜んでくれると思う?」
「………おまえたち………」
「え、いやあの……」



「極限に最高だぁぁああ!」



「あれ…喜んでる…」
「これは実に味わい深い作品だな!よーし、部室に早速飾りに行くぞ!」
「花…良かったね」
「色んな意味でわけわかんないわあいつ」


そんなことを喋っている間に了平さんの姿は既に消えていて、恐らく並中へ向かって(極限に)走っているんだと思う。
私たちは顔を見合わせて脱力しながらも苦笑しあった。


「でも、喜んでくれたのならいいんじゃない?」
「そうだね!」
「うん!」


了平さん
HAPPYBIRTHDAY!!



8月26日お兄さんはっぴーばーすでい!
極限に祝福します♪


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