小説─黒子のバスケ─

□黒子のバスケアンソロジー(?)
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赤降





降旗「っく…ふっ…っ──」


昼過ぎの公園のベンチ。端から見れば一人で何してるんだって思う。
東京と京都って遠すぎだよな。もっと近くしてくれればいつでも会えるのに。

会ってなくてもう、2,3ヶ月は経っているだろうか。
1ヶ月前からメールや電話は返信してない

だって、電話をしたら声が聞こえて会いたくなっちゃうだ ろ?
メールをしたら相手の返信を待たなきゃいけないし、言葉を考えなくてはならない。

君がいなくても平気だと、君に返信をしなくなったときから決めていたのに。



会いたい。

会いたいよ。




「──っ光樹…!」




懐かしい声。聞きたかった声。見たかった姿。触れたかった。

優しい手に。体に。

でも、後ろは向けない。会ったってまた。すぐに恋しくなる。だから後ろは見ずに走った。
でも、赤司からは逃げれずに捕まってしまった。


赤司「はぁ…っ…僕の言葉を無視して逃げるつもりかい?いい度胸だね。…光樹」

降旗「っ離せよ!どうせ俺の事どうだっていいんだろ!?なんの返事もしてない俺に、っ飽きてきたんだろ!?」

赤司「違う」

降旗「嘘だ!」

赤司「…光樹」

降旗「やだ…!」

赤司「聞いて。」

降旗「やだ!」


相手の言うことなんか気にせずにずっと否定し続けたら赤司も怒るだろう。

息ができなくなる苦しいキス。
それがキスだと解るより先に、突然の事で腰が抜けた俺を受け止める赤司の方が早かった。


降旗「んんっ…ふぁ、っ…ん゙、…っは、なんっ」

赤司「…人の言うことをちゃんと聞け、とくに、僕の言うことをな」

降旗「っ…」


突然の事で足が動かないし、体は赤司に押さえつけられているので逃げれるも何も、動くことができなかった。

それと同様、言葉も出なかった。あんなことを言わなければ…、という罪悪感。動けない恐怖、でも、触れたい。
いろいろな感情ばかりで涙が出てきた。

でも、次の言葉は今の俺に恐怖や寂しさを解く言葉だった。


赤司「…好きだよ。光樹」

降旗「…え…?」

赤司「連絡がなくて心配した。最初は連絡を拒否してるだけだと思ったが、直に事故でもあったのかと思って会いに来た。」

降旗「っ…ごめ、ん…ごめんね…赤司、っ」

赤司「もういいよ。無事なら、それでいい」

降旗「うん…っ…ありがと、う…」

赤司「その代わり、君に触れてなかった分、存分と触れたいな」

降旗「お、れも、…だか、らっ」

赤司「うん。光樹の家に泊まっていいかい?」

降旗「うん…っ…」

優しく返事をしてくれたなら、僕もそれに答えよう。
たとえ返してくれなくてもすぐに会いに行こう。

ずっと、好きだよ。




end



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