馬鹿やって幸せ

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ポケウッドでいくらか映画を撮ったの。この容姿だからすぐに人気が出たわ。まぁ、当たり前よね。

ヒュウにはちょっと傷付けられちゃったけど、あの糞ポケモンに洗脳でもされちゃったのね…可哀想に。

いかにどうあのゴンベを潰すか考えてたらライブキャスターが音を立てた。誰かと思ってみてみれば、最悪、メイだったわ。女には興味無いのよ、ムカつくから出ないで切ってやったわ。

さて、あたしのブロマイドの売れ行きでも見て来ようかしら!

またライブキャスターがなった。またメイかと思って切ろうと思ったら表示されてるのはキョウヘイだった。急いで出ると驚いたような声が聞こえた。



《アレ?さっきメイの時出てくれなかったよね…?》

「タイミングが悪くて…!でも今は平気よ!」

《ふーん…まぁいいや。実は、ナルさんが怪我して、今ポケセンで寝てるんだ》

「えっ!?ナルさんが!?」

《うん。一応伝えとこうかと…。》

《おい、もういいだろ。ほっとけよ。》

《ヒュウ兄、キョウヘイ!イーブイと大きいポケモンは無事だって!》

《後はナルさんだけか…。エンリーちゃん、それじゃぁ、一応伝えたから。》



それだけ言うとぷつりと通信が切れた 。

ナルさんが怪我?怪我をするようなイベントなんて知らないわ。
足は意識しないでもポケセンに向かう。まぁきっとこれはナルさんを手当して惚れさせるイベントよね?フフッ、神様ってば本当にエンリーのことが好きよね!

それに電話越しに聞こえたメイの"イーブイ"と言う単語。イーブイは絶対欲しかったの!でも捕まえるの大変だし、どうせなら特別なイベントで欲しかったの!

足がステップを踏むように歩く。嫌なことがあった後はそれを超えるいいことが待っているものよね!



ポケセンに入ると広場で険しい顔をしてる三人。
そんなにあたしが来るの待ち遠しかったのかしら?



「みんなぁ!調子はどう?」

「調子…?いいわけ無いだろ…!?ナルさんがまだ目を覚まさないんだぞ!?」

「もう丸一日は起きないんだ…。ナルさんのポケモンたちも不安とストレスで結構やつれてて、見てられないな…。」

「それと助けた二匹のポケモンも、特殊過ぎて元の場所に戻せないとかで、事と場合によっては…。」



メイが余計なこと言うから空気が重くなっちゃったわ、本当に約立たず。

ナルさんは私のために用意された騎士なのよ?死ぬわけ無いじゃない。それより気になるのは二匹のポケモンの方!
特殊過ぎて?って事は絶対、色違いで進化退化自由なイーブイに決まってるわ!
そして私の手持ちになる事を確信したの!



「…なぁ、なんでメイからの通話は出なかったんだ?」

「えっ、えっと、電話でも言ったけど、その、忙しくて…。」

「ライブキャスターから見えてたけど、お前ポケウッドにいたよな?忙しいことなんてあったか?」

「…!そ、それがね!エンリー、映画に出たらファンの人が出来て、話しかけられて…。」

「の割にすぐ後のキョウヘイのには出れたよな…。」



ヒュウ、貴方、完全にあのゴンベに毒されちゃったのね。メイもそうよ。メインキャラのくせに逆ハーを築き上げようとしてんのよ…。

ヒュウはメイを気遣いながらアタシを追い詰めてく。
なんでキョウヘイはアタシのフォローしないで、まるで見極める様な目を向けてるの?



「アタシちょっとポケモンの様子見てくるわね…!!」

「…。」

「逃げちゃうんだ…。」



キョウヘイが何か呟いた気がするけど、アタシの耳には届かなかった。

ジョーイに場所を聞きながら行くと、例のゴンベがひと部屋に入ってくのが見えた。そう言えば、この近くにナルさんの病室が有るらしいけど、そんなことよりイーブイの方が先よね!!
どうせ怪我とか言っても大したことないんでしょうし…。

言われた部屋に入るとベットに優雅に座るイーブイを見つけた。…色違いじゃないのが残念。



『あら、通訳のゴンベがいるって聞いたけど、アンタ?』

「あんなのと一緒にしないでよっ!」

『あらあら、言葉が分かるの?通訳と変わらないわねー』



何よ…、このイーブイムカつく態度ばかりっ!御主人様にその態度はないわよねっ!
しかもメスとか、残念に拍車かけちゃって…。これで進化退化自由じゃ無かったらほかの探しましょう。



「ねぇ、貴方進化退化出来るの?」

『…出来るっていったら、どうする?』

「やって見せて欲しいなぁ?」



イーブイは、ニヤリと笑うと優雅な体制で体を光らせエイフィーになった。

毛並みがキラキラとしていて美しかった。
それからすぐに戻るとクスクスと妖艶に笑う。



『知ってる?エイフィーって、なつき進化なの。誰に懐いたと思う?』

「…!!勿論アタシよね?!」

『はぁ?なんで今あったばっかの不躾女に懐かなきゃ行けないのよ。』



イーブイはそう言うと大きな溜息をついた。
なんなの!?逆にあたし以外誰に懐くっていうのよ!!!



『私ね?助けてもらったの。大嫌いな人間に。初めて抱きしめられたわ…。
逞しい腕、厚い胸板、焦って枯れた声、命に代えても守ってやるってのが伝わったわ…。
王子様…、今は眠ってるらしいの。早く私を迎えに来て…!!』



恍惚とした表情で頬を染め、それは恋する人間そのものの顔だった。

なんなのこの子…。人間に恋するポケモンなんて、有り得ない、気持ち悪い。



エンリーは元の世界でポケモンを擬人化させ恋愛をシュミレートしていた事を棚にあげた。



でもぉ、進化退化自由なイーブイなんて次会えるわけないわ、一匹だから特別なの。そんなのが2匹いても困るわ。



「…貴方、このままだと殺されちゃうわ。」

『…何言ってんの?王子様が迎に来て手持ち入りするに決まってるじゃない。』

「いいえ、貴方の王子様、ナルさんはい今重症で寝て起きないの。いつ起きるか分からないわっ。その間に貴方は危険生物として殺処分されるの…。」

『…で、アンタは死刑執行日を伝えに来た処刑人?』

「アタシはエンリー。ナルさんの大切な女性…って言ったらわかる?」

『…ッ?!!』



イーブイは酷い顔してる。フフッ、そうよね、好きな人に恋人がいたら誰でもそんな顔するわ。

今はまだナルさんがアタシに片思いしてるけど、もう少し楽しんだら告白を受け取って恋人の一人にするから嘘入ってないわ。
殺処分も、嘘じゃないわ。だってメイが言ってたもの。



「エンリーだけが、貴方を救えるわ。」

メイじゃなくてアタシだけ。

「エンリーの手持ちになれば、死なずにナルさんを見つめることが出来るわ。」

そう、見つめるだけ

「ねぇ、」

貴方は私の物よね?



答えは聞かなくても分かったから、アタシはイーブイを抱き上げ部屋から飛び出した。

ジョーイに話し掛けられたけど知らない、聞こえない。広場には誰も居なくて帰ったんだと察した。

酷いわ、皆して置いてくなんて…

今から行くわ?新しい仲間、魅恋(みれん)を連れて!















ハッピーエンドは王子様が持ってくる

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