馬鹿やって幸せ

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友人が、水柱を立ててから出てこない。



『ナル!!』

「おい、よしな!あんたが行ったって二次災害にしかならない!!」



助けに行こうと駆け寄るも、ホミカに止められてしまった。

水の得意なルリリに賭けてみよう

そう言ったホミカの意見はもっともで、でもホミカも僕も戦いに身が入らなかった。

好き勝手するガマゲロげに苦戦してる時に三方向から攻撃がはなたれる。先に助けられたムウマとコイルと、それからイーブイ。

勝手にボールからでた二匹にもびっくりだが、イーブイは体を震わせて水をはじくとエーフィーに進化した。そして、話す。



『あの人を思うだけで、なつき進化を出来るなんて…。ポケモンなんだから攻撃くらいへっチャラなのに守ってくれて…。人間の癖に、カッコイイんだからっ!』



人間の癖に。僕とアイツ、どうして逆じゃなかったのか。アイツがポケモンなら沈むことも無かった。バトルだってきっと華麗にやりこなしてるに違いない。

それに 比べて ぼく は

プツリ、と何かが切れる音がした。



大半の人は病院の匂いが嫌いだと思う。僕も例外ではない。意外と重症だったようでナルはまだ起きない。

助けられたナルを見てからあまり記憶がない。
手持ちには凄かったと褒められたけど覚えてない。



「リオちゃん、待ってるところ悪いけどあの子達の話聞いてくれるかしら?」

『ジョーイさん、何か問題が?』

「んー、問題って程じゃないんだけど、何か言いたそうだったから…」

『わかりました!』



あの子達、と言うのはあのプラズマ団が無理やり従わせた方の2体だ。ガマゲロゲは最後まであの男から離れなかったらしい。
それと、あの男はロケット団の残党で、プラズマ団に入り実験になるポケモンを集めていたらしい。そんなそいつはブタ箱行きだが。

まずは僕が無意識でぶっ飛ばしたポケモンの所に行くことにした。

ドアを開け、ワンテンポ遅れて衝撃。



『ごぼっ!?』

『会いとうございました!!貴殿が小生を負かし、かの男の呪縛から解き放ってくださった方ですね?!』

『ぬめって!ぬめぬめぬめするよ!??』

『あぁ、申し訳ござらぬぅ!!おおお恩人になんてことを…!!』



そう言って僕の上に乗ってたポケモンがのしのしと離れていく音が聞こえた。
僕の体はテカテカのぬめぬめになっている。

目の当たりにはしてないが、そのポケモンに察しがついた。

顔を上げると僕から少し離れたところで正座をし、その上に両手を綺麗に添えてる、通常の色とは違うヌメルゴンがいた。



『色違い、だよね?』

『…小生は元より通常の色をしておりました。この色は、所謂実験の成果に御座います。』

『え…。』



そういえば、金銀の赤いギャラドスはロケット団の実験関係で色違いになったという話を思い出した。

苦笑するヌメルゴンが痛々しかった。

するとヌメルゴンは唐突に地面に額をぶつけて、綺麗で完璧な、非の打ち所のない土下座をした。



『とても辛いことばかりでした…。そこを貴女、いえ、あなた方に救って頂き、感謝の極みにございます…!どうお礼を致せば…!何分小生は身一つしかございませんゆえ、大した御礼を出来ませぬが…!!』

『い、いいって!僕もあいつも御礼なんて望んでないよ!!』

『ですが…!は!この粘液なら夜のお供にご利用いただけます!』

『余計望んでないよ!!!』



取り敢えず地面と額を離して向き合うとヌメルゴンは泣いてた。
いい子なのがよく伝わった。
ただ、夜のお供に、と言うのはいかほどか…。

ヌメルゴンが落ち着くまで頭を撫でていると控えめなノックの後、ジョーイさんが顔を覗かせた。



「私から呼びつけといてごめんなさい、リオ。でも、ナルさんが気付かれたわ」

『わ、わかりました!すぐ行きます!ヌメルゴンも、行こう?きっとあいつも御礼なんて望んでないって言うよ。』

『…しかし、』

『いいから!!』



遠慮しているヌメルゴンを引っ張ってナルの部屋に駆け込む。

部屋のベットでぼーっとしてるナルを見て少し不安になる。後遺症とか、ないよね。



『ナル。』

「…あー、まって、寝るときはノーブラ派だから、まだブラ付けてない。」

『あんたいま男だから必要ないよ!!!心配かけさせて!!!』

『ノーブラは良くありませんよ、形が崩れます!』

『良いよ男に形の良さ説かなくても!』

「…てあれ?」

『…覚醒した?』

「んー、半々…。」



眠そうに目をかくナルは、いつものナルだけど、その目の周りや腕には痛々しい青痣や包帯があり、目も当てられなくなった。

降りてきたそいつの腕に手を置くと一瞬気味悪げにしたけど困ったように笑った。



「無理してゴメン」

『…そうだよ。無理しなきゃいけないのは私なんだから。』

「なんで?うちでも問題なくない?」

『問題あるよっ。アンタは人間で私はポケモンなんだからっ…』



そう、ポケモンである僕が戦うべきなんだ。
マサラ人でもないのに無理しちゃって。
こいつは何のことだかわからないと言ったふうに笑むだけ。



『…あのさ、』

「んー?」


『今度はさ、僕が戦うから。』

『だからさ、なるべく、無理しないで。』

『僕が守るから。』



次は、僕の番。
頼りないなーと、笑いながらまた目をこすった。
…さては、信じてないな。
まぁいい。これから嫌なほど分からせてやる。僕が手持ちにいないと臆病になるくらい!

よくある青春漫画や夢小説の様な事を繰り広げる僕らの空気間に啜り泣く声が聞こえてきた。

何かと思い周りを見ると入り口近くで立ってたヌメルゴンが、目から体から液体をこぼしていた。



『何と言う友情、何と言う青春…!感動致しました…、涙が止まりませぬぅ…!!』

「なんか色違いヌメルゴンが居るんだけど…。」

『さっきから居たけどね…。あの子、イーブイと同じ、あの男に実験体として無理やり従わされてたヌメルゴン。』

「へー、どうしたのそんなところで。何か用とか?」

『ぐす…、御礼をさせて頂こうと思っておりますが…思い浮かばず…。』

『そうそう、ずっとお礼がしたいーって聞かないのよ。』

「お礼?別に礼される程のことしてないし…」



そこをなんとか!と(いい加減うるさい)ヌメルゴンはナルのベットをバシバシと叩く。やめて、一応けが人。

ヌメルゴンの意図を伝えるとナルはメンドクサイと顔に書いて言う。



「じゃあ、俺の手持ちになるとかは?リオ、ヌメルゴン大好きだしちょうどいいだろ。」

『小生が、貴殿らの手持ち入り…?!』

『嫌だったら他の考えさせるよ?』

「自分でも考えろや。」

『嫌なことはございません!願ったり叶ったりにに御座います!!ですが、従わせられてたとはいえ、一度は貴殿に牙を剥いた身…小生は許されt』



ゴツンとヌメルゴンの頭にボールが当たった。何かを言ってる途中だがナルが手近にあった自分のボールをなげた。ボールは少し揺れたがヌメルゴンは出てくることは無かった。



「確実にグチグチ言ってるパターンだと思った。」

『正解』



ヌメルゴンの入ったボールを拾ってナルに渡すとヌメルゴンを出すこと無くベットサイドに置いた。
お互い顔合わせて笑うとしばらくして、ノックがされ、慌ただしくジョーイさんが入ってきた。



「どうしたんですか、ジョーイさん」

「実は、リオちゃんにお願いしたイーブイの件なんだけど…」

「あのイーブイですね、その子が…?」



「連れさらわれちゃったの…」















監視カメラにバッチリ写ってて
(美しく愛らしい少女が)

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