馬鹿やって幸せ

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『男よりつよい女なんて、かわいくねーよ』
「最近の女の子は男より強い方がモテる!」



この特性のせいでね?嫌なこと、いっぱい言われたの。ついこの間まで言われ続けて、忘れられないような、痛い言葉。
でもね、最近ご主人のおかげで痛い言葉も笑える言葉に聞こえてきたの。

初めは気を使って適当なこといってるのかなって、思ってた。でもムウマちゃんやリオちゃんを見てて、強い女の子でもいいんだって、自信持てるようになったんだよ。

アタシね、ご主人のこと、これでも大好きなんだよ



『なんで、あたし、力持ちなのに!!なんで持ち上がらないの!!!』



ご主人が目を閉じてどんどん沈んでく。
ご主人がさっきまで抱きしめていたポケモンと腰のボールに居た二匹を助けてご主人を助けに来たのに、沈んでく一方だった。
ご主人、体重あるって豪語してたもんね。

あたしがご主人を助けられなくてこのままこの人が起きない姿が思い浮かんだ。
そしたらどんどんご主人との楽しかった思い出が蘇ってくの。


ご主人が締まらない顔であたしを抱きしめるの。
ご主人、ヨダレたらしながら寝てる、ばっちぃ。
ムウマちゃんがご主人に八つ当たりしてる、ツンデレなの。
ご主人あたしのほっぺぷにぷにしないでー!!
ご主人のスキンシップうざいよー!好きだけど!!

ご主人、残念でうざくて、でも大好き!!



『しんじゃやだぁ!!!!!』



ぶわってあたしの体が熱くなった。
重くなったような、軽くなったような不思議な感覚。
ふと、あたしに手があることに気付いた。
それから何も考えず、ううん。ご主人の救出だけのことを考えて腕を引っ張って上に泳いだ。

ざぱって顔を出したら、防波堤から鉄の何かが伸ばされた。ギターだ。



「これにつかまりな!」



さっき仲良くなった銀髪の女の子の大切にしてたギターが伸ばされてて、ありがたくご主人を引っ掛けた。それから女の子と一緒にギターを引っ張ってご主人を引き上げた。

女の子がご主人の胸を何度か押すとご主人は口から水を吐き出して咳き込んだ。よかった、生きてた…。

安心したのも束の間で、ドカンと凄い音がして振り返ると、ご主人を海に落としたポケモンをムウマちゃんとコイルくん、それから見慣れない薄い紫の綺麗なポケモンが攻撃してた。



「試作品が!!誰になつき進化をしたんだ!!」

『アンタでないのは確かよ。まぁ、懐いた相手は察しがつくわよね?あの人を傷付けたアンタ達だけは許さないから…』

『初対面で懐かせる才能の持ち主よね…』

『貴女ダッテ例外デハ御座イマセンデショウ?アノ方ハソレダケ価値ノアルオ方ナノデス!』



それから簡単に倒しちゃって、他の逃げたプラズマ団?を追った三人が戻ってきたら一件落着に見えた。

でも男の人は諦めてなくてちょっと壊れちゃった笑い方をし始めた。



「まだだ!まだ一匹いるんだよ!いけ!」



男がボールを叩きつけるようにして出したのは体の大きなぬめぬめしたポケモンだった。ぽたりぽたり体から粘膜を落とす黄色い可愛いポケモン。なんだかいやいやしている。



「お前も俺のゆうことが聞けないのか!とっとと攻撃をしろ!龍の波動でこいつらを蹴散らせ!!!」

「きゃう!!」



どこから出したのか棒でそのポケモンを叩くと、仕方なくと言ったと調子で技を発動しようとした。

どごん

鈍い音がしてさっきそこに立っていたポケモンがいなくなり、代わりにリオが立っていた。
一瞬でよく分からなかったけど、リオが捨て身タックルを繰り出してそのポケモンを男に向かって突き飛ばしたらしい。
壁と大きなポケモンに挟まれた男は何も声を出さずに気絶した。
それに信じられないことにぬめぬめしたポケモンはその一撃で目を回してる。



『僕、これでも今すっごい怒ってるんだから…』



本当にリオかなって疑うぐらい、冷たい声だった。

ようやくジュンサーさんが到着したのを見計らってリオ、ムウマちゃん、コイルくん、それから薄い紫の綺麗なポケモンがご主人に駆け寄ってきた。

銀髪の女の子の腕の中でぐったりしてる姿を見て、ムウマちゃんは不安そうにくるくる回るし、コイルくんはうるさく喚くし、リオはご主人の手を強く握ってたし、薄い紫の綺麗なポケモンはわんわん大泣きしてた。

ご主人、皆ご主人が大好きなんだよ。
だからおねがい、めをしゃまして















明日元気になぁれ

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