馬鹿やって幸せ

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ナルとリオはキョウヘイ、メイ宅にお邪魔していた。
何故かと言うと、二人はお泊りすることになったのだ。


理由は少し戻ってメイのジム戦終了後、連戦で疲れているチェレンにナルは言い放った。



「ポケセン、満員で泊まれないんだって。泊めて?」

「僕の前から消えて」

「なんでお前ほぼ知り合い程度の俺にそう冷たいの!?」

「ただでさえ疲れてるのに君を泊めるなんて、死んでしまう…」

『多分エンリーちゃん今日中にまた来るよ』

「…勘弁して」



そしてチェレンは泊まりについて許可することなくポケセンにフラフラとした足取りで向かっていった。果たして彼は何往復目なのだろうか。
ジムを請け負ったばかりで四敗は流石に想定外で精神ダメージが大きいようで、なんだかBW時のチェレンのようだった。



「…ナルさん、泊まるとこないの?」

「あはー、そうなんだよー。エンリーちゃんに連行されてポケセンで予約するの忘れててさ。」

『面倒だけどサンギのポケセン行ってみよ?向こうも満室だったら野宿だけど』

「なら私の家に泊まりに来ない!?ね、キョウヘイ!」

「そうですよ!母さんに紹介しておきたいし」



ナルとリオは顔を見合わせて申し訳なさそうな嬉しそうな、なんとも言えない表情で有り難く甘えることにした。

それとキョウヘイとメイは帰ろうとしたヒュウにも晩飯だけでも一緒にしないか尋ねたが



「そうしたいけど、俺もしばらく自分ちの飯が食えなくなるから、遠慮しとくわ」



というのが彼の言い分で一理ある。双子は無理に引き止めずヒュウを皆で見送ってから帰宅した。





「美人なお母さんだったな(知ってるけど)」

「お母さん元ジョーイさんなんだ!」

「旅に出る前に色々教えてくれたんですよ」



時は戻り食後の双子のへや。広い部屋の端と端にベットが二つ、部屋を仕切るように机が真ん中に向かい合った状態である。
ナルは男なのでキョウヘイのベットの足元に敷布団を借り引いてそこで寝ることになる。

双子の母は突然のお客ではあったが、メイの言うジョーイさんの経験の賜物か、臨機応変に慌てることなく最高のおもてなしをしてくれた。



「…で、いきなりですけど、エンリーちゃんのことどう思いますか?」

「予想はしてたよ、そういう話になるって」

『劣等生』

「リオちゃん、正直だね…!」

「…俺は絡んできて欲しくないなーくらい。」

「あーよく絡まれてますもんね。」

『メイちゃんもよく絡まれてるけどどう?大丈夫?』

「私?一生懸命な子だなって思う。もうちょっとポケモンに気を使ったあげて欲しいかなー」



決して嘘をついたり建前で言ってないメイに二人は目をパチクリさせた。アレだけ敵意むき出しにされてそれでも理解しようという寛大な心に二人のむねはいたんだ。
メイは先に風呂離脱で部屋から居なくなるとキョウヘイは溜め息をつく。



「お分かりの通りメイはお人好しなんですよ…」

「純粋無垢だったな…。ベルなみだよ。」

「…エンリーちゃんのこと、俺は正直よく思ってないんです。」



キョウヘイは困った様な笑顔を浮かべてそう言う。
何か言いづらそうに枕を弄んでから口を開く。



「初めてあった時、可愛い子だなとは思ったんです。記憶喪失だっていうし、助けなきゃって。でもなんだか、ヒュウや俺に引っ付いてくるし、何もしてないメイを敵視するし、もう好感は持てないくらいには、ウンザリしてます。」

『むしろ僕はよく表に出さないなって感心したよ。』


「ポケモンにも酷いですよね、ゾロアが可哀想でしかたないし、ナルさんを無理矢理連れて行ってリオを置いていかせるって、酷いです。」



キョウヘイの瞳は旅に出る純粋でキラキラした瞳ではなく、鋭い目をしていた。余程メイを悪く思っているエンリーにイラついてるようだ。

リオはポケモンになって感覚が鋭くなったせいで、キョウヘイの小さな殺気に当てられ怯む。流石主人公のオーラは違う。
ナルは気付いてるのか気付いてないのか、何かを思い付いたのか口を開く。



「キョウヘイも敬語取れよ。」

『…ハァ?』

「…俺の話聞いてました?」

「ゴメンなキョウヘイ、俺人の話5割程度しか聞けない人間なんだよ、取り敢えずエンリーウザイで良いよな」

「そうですけど…、なんで急に?」

「急じゃねぇよ、双子揃って話しかけてきてる時から考えてたんだよ。妹敬語じゃねーのにお兄ちゃん敬語って違和感バリバリじゃね?」

『アンタそれ考えてて話5割程度しか聞けてなかったんでしょ』

「( ゚Д゚)ハッ!!」

『ハッじゃないよ!!』

「ただいまー!」



風呂上がりでラフな格好をしたメイは手にお盆を持っていてその上にはお菓子と飲み物が置かれていた。
お菓子と言っても軽いもので食後でも軽く食べれそうで美味しそう。



『…おい変態どこ見てるか当ててやろうか?』

「しっとりホカホカしてて美味しそうですね」

「ソレお菓子の話じゃないですよね。」

「クッキーだからどちらかといえばさっくりサクサクだよ?」



流石のキョウヘイも実の妹にセクハラ発言は許せなかったのかナルの胸倉を笑顔で掴んだ。

そんなことは気にせずクッキーを食べるナルに毒気を抜かれたのか、さっきの憎悪は何処へやら、気を抜かれてしまったキョウヘイ。



「キョウヘイも、それからメイちゃんも考え過ぎ。気を使いすぎると疲れるんだから、もっとヒュウみたいにストレートに言っていいの。」

『出た、悟りモード』

「なんかもっと厨二病っぽく言えない?やっぱりさー、エンリーちゃんはまだ成長途中だから悪いところは言ってあげないと気づけないんだよ、悪いままで大人になっちゃうからな」



俺が言うのも大人気なくてさー、そう言っては居るが、正直面倒だし絡みたくない建前である。

その建前前に気付けず純粋に受け止め、納得した。



「さて、俺もお風呂頂いていいかな?」

「あぁ!どうぞ!ごゆっくりー!」

「そうだ、キョウヘイくぅん、一緒に入るぅ?」

「…そうしようかな?ナルさんと裸の付き合いをしたいと思ってたんだー」

「え、ちょ?キョウヘイさん?もちろん冗談でしてそんな手をわきわきさせるのはやめてっ、なんかひわっ、BLじゃないからこの作品!」

『腐向け後で書き足すから平気だよ、ゆっくりほもしていってね。』

「この隠れ腐女子滅びろ!俺はノンケなんだよ!キョウヘイさんやめ、力強っ!アッー!!」



心配そうなメイをよそに、ちょっと違う世界にトリップしているリオ。でもそのシュチュエーションに友人が組み込まれていると萎えてしまって、彼女の持っていた「ここからは濃厚なホモになります!」のプラカードをそっと捨てた。

余談だが二人は一緒に風呂には入ってないようだが何故かへばっているナルと憑き物が落ちたような清々しい顔のキョウヘイが発見されたという。















おやすみ、また明日

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