馬鹿やって幸せ
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「私、エンリーって言います!」
「お、おう…知ってる…。」
「あの、私のこと、どぉ思いますか?」
「ま、まだ良く分からんちん…」
「エンリーちゃん、ナルさん戸惑ってるから一旦離れよ?」
「…私、今ナルさんと話してるんだけど…」
「メイの言うとおりだ。少しは離れろ。」
「君のトレーナーさん、あそこまでイケメンだと大変だね。」
『因みにアイツコミュ障だからそれも相成ってるね。』
ポケモンになったからかどうにも人の感情に機敏になったと思う。自己紹介を終えて僕が初めに見たのは、なんだろう、ジバ〇ャンを見つけた子供のような目だった。
それから行動が早く大胆で、ナルの腕に絡まりついて現在進行形で質問攻めに内乱に。いやプチ乱闘かな?
まぁおかげで僕が喋れるゴンベである事がスルーされているのはありがたい。まさか元人間だから喋れるんだよーんとか言えないし。
キョウヘイは僕と同じく遠巻きから、コミュ障発動中のナルに絡むエンリー?を話そうと説得するメイとそれにキレるのを我慢して反抗するエンリーと半ギレながら説得するヒュウと全員を宥めようとワタワタしてるベルを見てる。
「ヒュウはメイと俺がちっちゃい頃からお兄さんでいてくれたから新しくきたエンリーちゃんにメイが傷付けられないか心配みたい。特にメイが一番年下だから。」
『皆幼馴染みなの?』
「俺とメイは双子なんだ。俺がお兄ちゃんでメイが妹、でヒュウが近所に住んでるお兄ちゃん的存在。妹いるよ。」
『ねぇ、知ってる?双子って後に生まれた方が上なんだよ』
「えっマジ?」
「のほほんと会話してないでストーリー進行させる努力をしろ!!!」
でたでたメタ発言。
ようやく解放されたのか僕とキョウヘイの後ろに隠れるガタイのいいイケメン。不甲斐ないわ。
不服そうな顔のエンリーに向かって仕方なく僕は自分の毛の中からモンスターボールを出した(汚いって言うな汚くない)。
『このどっちかに君の相棒になるポケモンが入ってます。』
「や、やだぁどっから出してんのよぉ…汚くなぁい?」
「おいエンリー、いい加減にしろよ。それ以上文句言うならポケモン貰わずにいろよ。」
「まぁまぁヒュウ兄…。」
「大丈夫だよこいつ毎日自分で風呂入ってるから。」
『……こっちがゾロアで、こっちがムウマ。どっちの子にする?』
腹立つわーコイツマジ腹立つわー。良かったな僕が技を使えなくて。
キレるヒュウにクネクネと機嫌取り(効果はないようだ)をしてから、結構悩むエンリー。
…こんな子にこのどちらかの子を預けるのか、心痛いな。今すぐボールを抱えて研究所に帰りたいくらいだ。
臆病で弱虫泣き虫なゾロア、少し高飛車な性格だけどまだ人間不信のムウマ。
不安ではあるがこの二匹を守るため旅に出たようなものか…。この子達がピンチなときは、戦えない僕だけど技の一つや二つ出してやる心意気だ。
「…この子に決めた!」
『ヒッ…!リオ姉ちゃん…!』
『…大丈夫、僕らが着いてる。』
「名前はぁ…"廻(メグリ)"!どうかしら!?」
「お、おう…」
怯えるゾロア。廻と名付けらたがまぁナルが名付けた"とっとこゾロ太郎"よりはマシだろう。
しかしまだ満足しないのかこちらをチラチラ見るエンリー。
「…そっちのムウマはぁ貰えたり出来ないかなぁ?」
良かったなナルが男になってフェミニストになって。女だったら右ストレートを食らってたと思う、女の時は男女平等鉄拳制裁だったからな…。
エンリーのこの発言に皆が引いていき、ヒュウがまた一歩出て「俺は今から怒るぜ」を発動寸前。彼はきっと学級委員長がとても似合う正義感と主張性があるわー。
それを止めたのは僕の後ろの不甲斐ないイケメンだった。
「ごめんな?こいつ等人間に嫌な事されて人間不信なんだ…。」
それを聞いたエンリーは物凄く嬉しそうな顔になる。
周りの四人は切なそうな表情の中、なんでコイツは嬉しそうにするんだ?
傍観夢なんか読んだことのない僕にはよくわからなかった。
「だったら私が…「ごめんな?」っ!」
「本当は新人に任せられるような子じゃないんだ。でもアララギ博士は純粋な君達新人トレーナーなら心を開かせてくれるかもって託したんだ。」
「…だから私が「俺はそうは思えなくてな」」
「俺も君らと旅に出る。それは君らの監視役、試験だと思ってくれ。」
「試験…ですか?」
さっきまでのコミュ障は何処へやら。凛とした発言に聞き惚れていた四人のうちキョウヘイが聞き返して、ナルが頷く。
うーん、にしてもカッコ良くなってるな…。好みじゃないけど。もしかしたら僕もポケモン世界では美形に値するのだろうか…。
「もし俺が失格と判断した場合、ポケモンを取り上げて、そのポケモンに攻撃させてどんなにポケモンが苦しみ恨んだか思い知らせてやります☆」
コイツの残忍性はトラックにひき殺されれば良かったのに。
物語が進まない(タイトル)