感謝感激雨霰!

□花一匁
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※夢主が悪女です



ナギサに来た私の目的がとある人物、正確にはポケモンを見て変更した。

あの、ポケモンが…欲しい。



完璧だ。僕の見た目にスペック、何をとっても全て完璧だ。

とても不幸な、口にするにもおぞましく悲しい事故で僕は死んだ。でも僕は、神に愛されていた!
アルセウスに連れてこられたこの世界で僕は理想の身体を手に入れた。元も可愛い女だったけれど更に美しく、中性的な容姿へと僕は姿を変えた。

あえて男装をする。
必ず男キャラは僕を好きになって取り合う、男でも関係ないと言うだろう。そしてアクシデントがあって僕の男装がバレた時、ハッピーエンドを迎える。

それを何人もこなして逆ハーを築き上げよう。

他には最強を付けた。やはり男キャラは強い僕に負け、勝とうと何度も絡んでくる。それをあしらいながらクールに去る。

簡単な未来のビジョンが見え早速僕はキャラを探しに足を踏み出した。



『ねぇ、ママー!海がきれいだよー!!』

「あぁ、そうだね。でも海はまた今度な。」



最強の特典で付いて来たマナフィは僕のことを母と勘違いしてママと呼ぶ。
どうせだったらマナフィではなくてダークライが良かったと思いつつ優しい言葉をかける。伝説のポケモンがいるだけで良しとするべきだ。



『えー?どーして?』

「ジムに行こう。電気タイプのジムだけど蒼騎(そうき)と僕なら勝てるよ。」

『んー、良く分からないけど、ママのために頑張る!』



馬鹿さに少しイラッとしながらも微笑みながら撫でてやる。馬鹿な子ほど可愛いと言うし、時を過ごせばいい子になる。僕はそう信じて第一歩を踏み出した。



そして信じた通り立派に成長したマナフィの蒼騎は今は負け知らずとなる。



「旅をしてからようやく半年だな。バッジは半分揃ったし、もうデンジに勝てるだろう!」

『もうビリビリなんてへっちゃらだよ!』

「そうだな。さて、デンジを惚れさせに行こう!」



旅立ったあの日、僕は結局デンジに負けてしまった。
仕方ない、マナフィ一匹、最強とはいえ初めての戦いだった僕はレントラーに簡単に負けてしまった。
だけど今は仲間もいるし行ける。

早くデンジを倒して完全に惚れさせよう。

そうしてジムの前に行こうとしたが、何故かジムの前にオーバがいる。…あまりオーバは好みではないが、デンジの攻略には必要と仲良くしている。



「やぁ、オーバ。」

「セシリアじゃないか!デンジにリベンジか!」

「そうだよ。だからどいてくれか?」

「入ってもいいがあいつは今、うん。デート中だ!!」

「ハァ!?」



ニヤニヤと笑ったオーバは衝撃な事を言う。
あまりに衝撃な事で僕は大声を出してしまった。いや、オーバのことだし手持ちと散歩のことをデートと…、いや、そんなことを言う奴ではないか。



「最近なーえらい美人な、可愛い女の子が来てな!ナナシって言ってな!…ムカつく事にそいつとデート中だ。」

「…デンジが危ない!!」

「はぁ?何言ってるんだ。」

「説明は後だ!デンジとそいつはどこに!?」

「あ!?言うわけ無いだろ!せっかくのデート潰す気だろ…っておい!」



やっぱり早めにデンジを惚れされるべきだった!
まさか悪女が居るとは…!
聞く限り明らかな傍観に出てくる逆ハー狙いの悪女に決まっている。
逆ハー補正にかかって好きでもない女に振り回されてるんだ、可哀想なデンジ!!

ゲンから貰ったルカリオの波狼(はろう)にデンジの波動を感知してもらい海岸に居ると言った。



『ママー?どうしたの焦ってー』

「…蒼騎!デンジは今は危険な目に晒されてるんだ!助けに行くよ!」

『…うん!!』



ひたすら走り海に向かうと、いた。
嫌そうなデンジとそのデンジの腕に脂肪の塊を無理矢理押し付けるように抱き着いてる女。

その女は明るい茶髪のロングヘアーに露出の多い服を着て、化粧をしている。

あぁ、穢らわしい。デンジが嫌がっているではないか…!!

だがもし今の感情的な状態で注意しよう物なら、あの穢らわしい女と同じに思われる可能性がなくはない。一度落ち着けてからゆっくりとデンジに歩み寄る。



「やぁ、デンジ。探したよ!」

「…セシリア。今はプライベートタイムだ。また来てくれ。」

「…釣れないこというなよ。僕はジムの最挑戦に来たんだ。」

「そのくらい分かる。だから後にしてくれってんだ。」

「…デンジ!女にかまけてないで仕事をしたらどうなんだ!」

「しつこいぞお前…!」

「デンジぃ、落ち着いてぇ(笑)」



話を聞かないデンジを目覚めさせようとしてる時にようやく悪女が行動を起こしてきた。

ここで動き出したと言うことは催眠が解けそうになったのか?

ナナシ、と言ったか。その女はデンジから離れて僕に近付いてきた。鼻に付く香水の匂いに顔を歪めそうになる。首をかしげニコリと笑い僕にまで愛想を振りまく。

男装してる僕に惚れたのだろう、カッコ良ければモブキャラにも媚びるとは、飛んだ軽い女だ。
そしてそいつはネットリとした間延びした話し方をするとんだぶりっ子ボイスで話しかけてきた。



「あなたのそのマナフィ、アタシに頂戴?」

「………。」



声も出なかった。コイツは何を言っているんだ?



「可愛くて珍しいしぃ、アタシにぴったりな筈でしょ?待ってて、いま適当な交換用のポケモンデンジに捕まえてきてもらうからァ!」

「ふっ…ざけるな!!蒼騎は僕の大切なパートナーだ!渡すことなんで出来るわけないだろ!!」

『ママー…!!』

「ふーん…。じゃあきっとイベントってことね。アンタを倒して洗脳されてるマナフィを開放してやるわ!」



自分勝手なクレクレ厨か…!逆ハー狙いナナシは僕がなんの準備もしてないのに手持ちだろうチラーミィを出した。
女が指示する前にデンジはナナシの腕を掴み止める。



「止めないでよデンジぃ…!」

「バカっ!お前は弱いんだから戦うなら俺に任せろって…!」

「駄目なの!これはアタシが越えなきゃいけないイベントなの!」

「デンジ!目を覚ませ!そんなぶりっ子の女なんて…!」

「セシリア!ナナシの悪口言うなよ!」

「っ…倒して目を覚まさせるしかないか…!」



攻撃を先制しようとしたのだからこちらが今攻撃したって問題ないだろう。

蒼騎に波乗りの指示を出すと見事チラーミィに命中し、一撃で目を回した。
それを見たナナシはデンジから離れ駆け寄ると涙を流した。



「酷いわ!!!手が離せないとき攻撃するなんて!!!!」

「元はと言えば君が先に攻撃してきたんだろう。」

「うああ…!チラーミィも使えないしぃ!マナフィが可哀相よ!!こんな弱い使えないポケモンをいじめたポケモンにされたなんて…!!!」

「使えないなんて、酷いのは君のほうだろ?」

「セシリア…。」



デンジはようやく催眠が解けたのか泣いてるナナシを気遣いながらこちらを見つめた。



「ナナシはまだ弱いんだ…!それなのにそんな強い技を出すんじゃねぇよ!」

「デン…ジ…?」

「なんなら俺がお前がやった事をやってやろうか…?」




ボールを構えるデンジは明らかに怒気と殺気を含んでいて、攻撃をしたマナフィはやる気満々だった。

…元はデンジを倒しに来た。きっと倒せば催眠が解かれるはずだ。



「マナフィ!その女の言いなりに戦っちゃダメだよ!!!貴方は痛い目に合う、裏切られるのは目に見えてるの!!」

『なにいってるんだよ!ママは僕のことが一番好きなんだ!』

「そうだよ…!蒼騎!デンジを倒して目を覚まさせよう!!」

『うん!』



「あーぁ、可哀相で、馬鹿な子だな。」







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