感謝感激雨霰!
□愛してたよシスター!
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※本編の話から1、2年後
リオとナルが元の姿に戻ったり出来る
とある少女が消え去って一年は立つかな。時が経つのが早いと思うようになったのは歳をとった証かもしれない。
今ナルは貯めたお金でフォレストシティに家を買ってご隠居中。最近、街頭インタビューでテレビにチラリと出てからファンが出来て、外に出ずらい環境になってしまったとか。
まぁ女の姿に戻れるから外に出るときはもっぱらそちらの様だが、女の姿に戻ると体力まで戻ってすぐ疲れるらしく大抵男でいる。
僕はナルと一時的に別行動をしている。ゴンベの時から憧れていたポケモントレーナーとしてポケモンと愛情を深めること、僕はそれがしたくて一人で旅に出ている。
もちろん元の女の姿で。
今ようやく6個目のバッジを手に入れた所だ。フウロちゃんのあの仕掛けのぶっ飛び具合が楽しくてもう一回行きたいくらいだ。
次はドラゴンタイプのジムリーダーらしくテンションが上がる。なんせ相棒の色違いヌメルゴンを活躍させられることができるからだ。
アイツから引き継いだあのヌメルゴンは今は相棒となっている。
意気揚々と次のジムを目指そうとしたらライブキャスターにコールがかかった。珍しいと思いつつ確認すると噂のナルからだった。
コールに出ると現れたのは男のナル。なんだか顔が強ばっている、問題でも発生したんだろうか…、まさか…!
「彼氏と別れたの!?」
《あいつは彼氏じゃねーし!!!》
「別れたのか!!!」
《別れてないし!!!今でも仲良しだし!!!》
「なんだ、ひやひやした…。なに?デートプランきまんないとか?」
《だから彼氏じゃねぇって!!!!》
アイツから連絡が来ない理由は多分僕がこうやっていい感じの二人を弄るからなんだろうと思う。初めての男気だからついそこをつついてしまう。
まだまだ弄ってやろう、そう思っていたがライブキャスター越しに聞こえる甘ったるい女の子の声、そしてナルの強ばった顔を見て中断する。
これは、確実に、面倒ごと、である。
僕は一言も入れずにライブキャスターを切った。
そして間髪入れず再呼び出し。アイツも藁にもすがる思いで僕にかけてきてると分かると無下にできなくてコールをとった。
《アレだよね?電波悪くて切れちゃったんだよね?面倒とかじゃないよね?》
「そうそう。で、どうしたの?」
《…あのさ?変なこと聞くけど、俺って、妹とか…居なかった、よね?》
「…はぁ?とち狂いすぎでしょ。アンタは生粋の一人っ子じゃん。周り全員兄弟いて一人羨ましげに見てた正真正銘の一人っ子じゃん。」
《…うん、そうだよね、一人っ子だったよね…。うん。ごめん、ありがと。旅、頑張ってね。》
そう言うと今度は向こうから切った。
いやいや、頑張れねーよ。
あんな弱ったあいつの事を知らない僕。あいつの精神をここまでボロボロにする面倒な女とはどんなやつなんだろう。
「……。」
「めらぁ?」
心配そうにしてくれるヌメラゴンの頬を撫でて、僕は手持ちのアーケオスを出してナルの住まいに飛ぶように頼んだ。今は声が聞こえないけど特に問題なんてない。
「ナルお兄さまぁ!ルナルはお腹すいたぁ!」
「…え、うん。」
「大事な可愛い妹がこんなに言ってるのに抱きしめてもくれないのー!?」
「えぇ、あ、ごめん。てか、誰?」
「何言ってるのー!?ルナルはぁ!お兄様のぉ!妹!!!この美しい容姿はお兄様そっくりでしょ!?」
「似てなi「似てる!!」
僕が降り立つとフォレストタウンのポケモンセンターの近くで言い争いをしてる男女がいた。それは僕の目的である男姿のナル。そして自分がそのナルの妹だと言い張る妹だった。
先ほどあいつに言った通り、アイツには兄弟はいない。正真正銘の一人っ子である。妹がいるのは僕であってあいつに居るのはペットのデブハムスター位だ。
僕はアーケオスをボールに戻すとゴンベの姿になる。
人と絡むときは何かとこの姿の方が楽だ。特にあの手の女の子には。
手持ちのポケモンたちは僕の姿に理解があるこしかいない。ボールを毛の中に入れて荷物はポケモンセンターのジョーイさんに預けておく。
『ナル!』
「!!リオー!!!!!」
『ぐへぇっ!』
声をかけて向こうがこちらに気づいた瞬間僕に抱き着いてきた。まずコイツから抱きしめてきた試しなんかない。これは、結構やられてたな。
ナルの妹とか抜かす女は確かに可愛らしい容姿をしていた。が、似ている要素は何処にもない。鼻も口も目元も手の形も声も、肌色も髪も目の色も、全く似ている要素が見当たらない。
全く似ていない兄弟だっているのは知っているが、まず第一にコイツに妹なんていないってさっきから言ってるし、養子をもらう様な親でもなかった。
『君は一体誰?』
「はぁ?それはこっちのセリフよ!ルナルのお兄様とどーいった関係よ!!!」
『僕はナルの相棒だよ。君が妹とか抜かす前から旅をしてた。』
「ふーん、で?お兄様はルナルのなんだからね!」
『あのさぁ…、本人から聞いてないの?コイツに妹なんて居ないよ。コイツは一人っ子だ。』
「フフッ、あぁ、もしかしてアンタが私のお兄様を洗脳してルナルの記憶を消したんじゃない?お兄様がルナルに妹がいないなんていうわけ無いもの。」
「いっつみーひとりっこぉ!!コイツにそんな能力なんてない!!」
あぁ、やっぱり面倒ごとになった。
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