感謝感激雨霰!
□愛してたよシスター!
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さてどうしたものかと思案しているとルナルと名乗る女は勝ち誇ったように笑う。
「まぁ、あんたが何であろうと兄さんはルナルの元に戻ってくるわ」
ねぇ、お兄様?
妹を名乗るルナルがそう言うと、僕の後ろにいたナルがふらりとルナルの元に向かっていった。
さっきまで僕に助けを求めていたコイツが?おかしく思ってそいつの顔を見るとその瞳が、焦点の合わない虚ろな目をしていることに気づいたが、一瞬のことだった。
やってきたナルの腕に満足そうに抱きついた。
『ちょっと!』
「呼び出しといてごめん。妹として過ごすのも、悪くないかもしれない」
「ふふっ、お兄さまぁ、買い物に行きましょう!」
「え、うん、でもお金内からたからないでね」
おかしい!
だってあいつの好みは美乳の色白の綺麗系おねぇさんだぞ!ルナルは色白の可愛い系年下だ!しかも胸もそんなにない!だからアイツがデレデレするのはおかしい。
明らかにルナルが原因である。潰すチャンスはまだアイツは半信半疑のようだし、今が一番だ。
正直面倒ではあるが操られたナルを相手する方が面倒だろうな。
僕の存在を無視して歩いていく二人に声をかける。
『ねぇ、ルナル!』
「何よ、アンタに名前呼ばれたくないし、これからデートなの、邪魔しないでよ」
『僕はそいつのポケモンだよ?兄妹二人で入れる機会なんてそうそう得られない。』
「何が言いたいの?それにあんたなんて捨ててもらえばいいし?」
『一回だけ、二人っきりで話そうよ。そうしたら僕は二度と君らの邪魔しない。』
僕の要件を怪しみつつもナルに待っているようにいうと言うと僕の方に歩み寄る。うわーすごい怖い顔。
街中で問題起こすのは宜しくないしお互い避けたい。と言うことで僕らは霧のかかった道路に移動する。
『単刀直入に聞くと、アイツに何したの?』
「…まぁいいわ、どうせあなたを殺すし教えてあげるわ。」
もっと単刀直入だった。殺すって宣言したよ…。
「私、傍観夢を見て学んだわ。直ぐに逆ハーを作ろうとするから破滅するの。毒は遅効性のほうが効くでしょう?」
『…?何言ってるの?』
「馬鹿なあなたには思いつかないでしょうねぇ?私は暗示の特典でじわじわと本当の事だと思わせるの!即効性の毒より遅効性のほうが効く、おわかり?」
…中坊かこいつ。最近得た知識を分かりきらずに得意気に自慢する。典型的中坊だ。
僕は呆れてため息しか出なかった。
『で?アイツの妹になった理由は?』
問題はそこだ。なぜ恋人ではなく妹なのか。妹なんていいこと無いだろう。
僕は自分が妹にしてきた行為を思い出していった。
出来の悪い僕より出来の悪い妹。それでも勉強を教えてやったが次の日には完璧に忘れており、僕は教科書を丸めて思いっきりぶっ叩いてやったし、あまりにマナーになってないことをすれば蹴り飛ばしたし、友人の話だが、勝手にゲームを売り飛ばしたりとか、妹は理不尽な思いしか受けない存在だと思ってる節がある。
それでも妹になったのには海より深い理由がおありなのでしょうね。
「カッコいいからに決まってるじゃない」
はいアウトー
「本当は逆ハーに加えても良かったんだけどぉ、ナルさんってモブかトリッパーでしょ?私はキャラと結婚したいしー、でももしキャラと結婚できなかったら代わりが必要でしょう?」
なるほど、つまりナルはストッパー君なわけ。
あまりにも下らなく、下手したらアイツの人生を潰しかけたコイツにじわじわと怒りが湧いてきた。
「さぁて、全部話し終わっちゃったし、死になさいよ!!」
ルナルは隠し持っていたのであろう刃渡りの小さなナイフを構え走りよってくる。
僕はそれをよけて、同じく隠し持っていた武器をそいつの足に軽く指す。
痛さを感じたのか顔を一瞬歪めるがニヤリと笑うと僕を蹴り飛ばす。僕は予想してたし受身を取って間合いをとった。
「あはっ!よけたと思ったら爪で引っ掻いただけ?弱すぎっ…!?ごボッ…!」
『即効性の力、思い知るといいよ。』
弱いと踏んで勝ちを確信でして笑ったルナルは咳をこむように血を吐いた。
僕が旅を始めてから何人ものエンリーやルナルのような少女にあってきた。そして僕らを呼んだ元凶にどうにかしろと言ったら、
『殺しといて』
そこに虫がいるよ、とでも聞こえたのだろうか。それくらい軽い返しだった。
まぁ許可を得てから僕は人を殺す術を会得した。
特にこの即効性の毒はいいよね。毒タイプのポケモンの仕業に出来るし。
つまり目の前で血を吐くルナルは腕時計型麻酔銃よろしく痛みのあまり感じない毒を塗りたくった針でさしてやれば即効性でこのように血反吐を吐く。
『遅効性か即効性かの違いは威力じゃないよ、持続性だ。僕のこの毒は即効性で出血毒。威力のほどは、いかほど?』
地面に膝をつき血を吐いてるせいで喋れないルナルは怯えた顔で僕を見上げる。さっきまで見下していたポケモンが自分を見下ろしてる気分はどんな屈辱なんだろう。
ただ、この大きさだと今立ってる所から落とすのはリスキーだから女の姿に帰る。
そうしたらルナルは騙されたって顔をしてた。ごめん騙した。だから謝罪と言ってはアレだけど、姉の理不尽キックを決めてやろう。
僕はルナルを思いっ切り蹴飛ばした、前の世界のマナーのなってない妹にやったように。
「理不尽な上の暴行を耐えて仕返ししあえるようになってからが妹だよ。」
確か下にはグライガーが生息してたよね。僕が使ったのはグライガーの毒だ。ナイフを持ってるあいつならグライガーに刃物でよからぬ事をしようとして反撃にあって死亡したってうまく運ばれるといいな。
僕は人の目を避けて置いてきぼりのナルの様子をミニホワイトフォレストに戻る。
さて、アイツには今度何かおごってもらわないとわりに合わない仕事だったな。
結局アイツには会ってない。もしかしたらピンチかもしれないぞーなんて面白おかしくナル曰く仲の良い男友人に言ってしまったから心配して仕事ほっぽって来たその男友人に手を取られ保護されていた。
あーヤダやだ。あんなデレデレした顔見たことないよ僕。いい雰囲気だから置いてきてしまった。今頃しっぽりやってるのだろうか連絡は来ない。
「…なんか寂しくなってきちゃった。彼氏欲しいなー!」
「めらぁ?」
「…違うわ、いやちがくないけど。あ〜そっか…!!」
あんなにウザかった妹に会いたいなんて、ホームシックとは厄介だ!!
仲いい兄弟は都市伝説?
(ありがとう、そう書かれた可愛いデザインのカードと)
(新作の可愛いデザインの鞄が贈られてきたから許す)