感謝感激雨霰!
□友達の始め方
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そして遅れながらもトパーズに追いつくとそこにある光景はまるで「大きなカブ」状態だった。
トパーズは探し人のNにしがみつき、そのNはリオを抱きしめ、リオは細い木にしがみ付いていた。
「…わーたのしそー」
『楽しくないわい!』
「あっ!その、これは違うんです!」
「やぁ、ロメル。このポケモンは新しいトモダチかい?喋るとは興味深いね。」
「見事な一方的三角関係…。」
トパーズはナルの登場にアタフタとNから離れ弁解をするがそれを無視してNからリオを引き取った。ニコリと笑うが少し威圧的だ。
「初めまして、ナルといいます。コイツは俺のトモダチのリオ。女の子だからあんまり男が近付くのは頂けないな。」
「それは済まない!僕はN。…良ければその内君の友達を見せて欲しいな。」
Nは彼の腰についてるボールから放たれる主の敵か見極める警戒心を感じ取ったのかそう言った。
そこから会話が発展していき友人になるであろう過程をロメルは見守ろうと一歩下がって見ていた、が。空気の読めない少女がひとり。
「逆ハー気取り!私とバトルよ!」
「…へ?」
「言ったわよね!?Nを見つけたらバトルって!N!私のポケモン見てね!?」
「構わないけど、今じゃないとダメなの?」
「ダメ!そうだ!ナルさん、ダブルバトルしましょう!」
「うわ巻き込まれたN君パスっ」
「生憎僕の手持ちにいるのは伝説のポケモンしか居ないから無理だよ」
「せめて、せめてロメルちゃんと一緒に組ませて!」
「私は構いませんけど…?」
「…………てい」
トパーズの好感度が低いナルは先程の守ってくれると言う言葉を信じて自分より低い背のロメルの背中に隠れる。
するとトパーズは下をうつむきボソリと呟いた。
そして顔をいきなり上げると鬼の形相をしていた。
「最低ね!!Nだけに飽き足らずナルさんまで洗脳したのねこの悪女!!!アンタを倒して皆開放して、私を愛してもらうんだから!!!」
『あー、駄目だこりゃ。』
「いきなさい、炎舞、狼苑!!」
トパーズは許可もなくボールを投げ出し炎舞と名付けられた色違いのキュウコンと狼苑と名付けられたアブソルを出した。
どちらも嫌われてはいないようだが懐かれてもいないように見える。捕まえたばかりなのかもしれない。
「フフッ、炎舞美しいでしょ?狼苑、あの女に切り裂くよ!」
それはある程度予想は出来ていたけど反応のできない事態だった。アブソルも一度戸惑ったものの主の命令に従いロメルにかけていく。
ロメルはハクリューに被害が及ばない様に一歩踏み入れる。アブソルが近付いて来て衝撃に耐えるように目をつぶろうとしたが、視界の中に緑を捉え見開く。
口を開け彼の名前を叫ぼうとした。彼が血まみれになる、その光景は見ることは無かった。
「最強の盾召喚!」
『あいたー!!!!!!!』
ロメルを守る盾は三段構えだった。ロメルのまえのNを庇うようにナルが現れ、そして彼の言う最強の盾、高個体値リオを盾にした。
アブソルの切り裂くは高個体値ゴンベの体力を三分の一程削ったがロメルは可擦り傷おろか視界に入ってすらいなかった。
「あぶねー、最強の盾がなければ即死だった…」
『お前は僕をなんだと思ってるんだー!!!!』
「なんでそんな女守るのよ!!」
「、そうだよ!Nもナルさんもそんな危ない事しなくても…!」
「ボクは数少ない人間の友達を守りたかったんだよ」
「共演のノリです」
『メタ発言この上ないしその為だけに僕痛い思いしたの?』
仲良く絡んでいるとハブられてるトパーズはワナワナと震え始め第2激目を繰り出させた。今度もアブソルの切り裂くが放たれるがいつの間にか現れたピンクのアブソルが頭の角で受け止めていた。
「アブソル、ありがとう。N下がってて。」
「ひゅ〜、その子君のアブソル?」
「ロメルが助けて自ら仲間になったのさ。」
「じゃあ俺も色違いにしようかなー」
優柔不断で迷うナルに痺れを切らしたようにヌメルゴンが出てきた。
アブソル、キュウコンVSアブソル、ヌメルゴンの試合はそれは呆気なかった。キュウコンは生憎夢特性でなかったのが敗因だったかもしれない。
ロメルのアブソルが地面にもぐっている間ヌメルゴンの波乗りでキュウコンを一撃で戦闘不能にさせ、耐えたトパーズのアブソルはロメルのアブソルの穴を掘るで戦闘不能にさせた。
地面に膝をついているトパーズは暫く呆然としていたがいきなり笑い始めた。
「っあはっ!あはっはハッハハハは!!!!」
『ちょ…?』
「はハッは…、そうよ、殺せばいいのよ…。殺したら洗脳も解けるに決まってるわ…。色違いの二匹も、Nもナルも全部全部全部全部…!!!」
手元にあった木の棒でロメルの殺害を試みるつもりなのか、ゆらりゆらりと近づく。
また男二人がロメルの前に立ち塞がるが、強い風が吹き、全員腕で風を凌ぎ目を瞑る。次に前に向き直った時にはトパーズの姿だけ見当たらなかった。
「あぁ、彼女が始末してくれるそうだよ。」
『彼女?』
「ボクを手当してくれたポケモンだよ。この森での正義、警察みたいなものかな。」
「ビリジオンのこと?なら今度お礼しなきゃね。」
「飛行四倍…。」
『それは言うな。』
突然の消失で茫然自失のN以外の物だが、ナルのライブキャスターのコール音で現実に引き戻された。
「ちょっとゴメン…!、はいはい、ナルでーす」
《でーすじゃないですよ、本気で包帯で縛って拘束しますよ…。》
「ご、ごめんなしゃい…、あの、しゅみませぇん…、ヤグルマの森で迷子になって…、でも出口見つけたからしゅぐ合流しましゅ…」
《はぁ…。一応重傷なんですから、心配させないで下さい。早く戻ってくださいね!》
それだけ伝えると切れてしまった。相手は勿論年下の一緒に旅している男子だが、ナルの背はものすごく小さく見える。
ロメルにもNにも聞こえていて彼との別れは察せた。
「今日は本当に有難う御座いました!」
「へ?あ、こちらこそなんの役に立たなくて…。」
「いえ、まさか守るっていったのに守られて…。でも嬉しかったです!」
「ボクも少ししか話せなかったけど楽しかったよ。是非暇な時君のトモダチと話させてくれ。」
『多分そのうち会えるよ。後半の後半だけどね。』
「あの、ナルさん。良かったらアドレス教えてください。」
「いいよ。俺もロメルちゃんとまた会いたいし!」
二人はライブキャスターのアドレスを交換し合う。横でNが羨ましげな顔をしてたがまずライブキャスターすら所持してないので無視するしかない。
「いつか、兄弟達にあって欲しいです。自慢の兄弟なんです!」
「うーん、じゃあいつか、俺の誰にも言えてない秘密、教えたい。」
『ロメルちゃんなら教えられる気がする!』
だから、また会いましょう。これからもよろしく。
それから三人と一匹は笑顔で手を大きく振り別れた。
この後この人間関係がどうなったかは多くは語るまい。
まぁ、悪い事には一切転ぶことは無かった。
『「ロメルちゃん!」』
「リオちゃん!ナルちゃん!」
こんにちはこれからも