感謝感激雨霰!
□友達の始め方
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作中では殿堂入りでないと行けなかったヤグルマの森に何故か居るリオとナル。
ただの興味本位で廃人ロードを歩いてみたらヤグルマの森にすんなり入れ、そしてまた興味本位で軽く歩いてみたら迷子になったのだ。
リオは迷子になりやすい人あるある、わからない道なのにズカズカ進むを実行したための結果。
「仕方ないね、そこらの野生のポケモン引っ掛けて道聞くべ」
『人に聞こうよそこは。』
「コミュ症にそんなこと言われても…。」
とは言えなぜか人っ子一人おらずやはりポケモンでも引っ掛けて案内してもらおうかと足を踏み出した。
それとほぼ同時に悲鳴の如き高い声が森に響き鳥ポケモンを飛ばす。
明確に面倒ごとである。二人は顔を合わせ溜息をついた。
経験と勘が言う、たったフラグは必ず回収させられる。フラグを折れた試しはない。
仕方なくふたりは声の方に足を進めた。その際リオは声と逆方向に進んで行こうとして、コイツは天性の迷子だとナルは確信した。
木々の隙間からひょっこりと顔を出すと舗装された道路が現れ自分等が通った道にようやくたどり着いた。
そして小さな川の上に日本の橋が掛かっていて、そこに少女が二人いがみ合っている。
いや、片方が一方的に噛み付いてるように見える。
『出口見つけたしスルーしていく?』
「こういうの無視すると後々痛い目にあうの知ってる」
『あぁ、分かる分かる。』
「ところでどっちが好み?」
『あー、見た目的にはショーパンの子。ニット帽なところが好感持てる。』
「確かに。でも俺明らかにエンリータイプだけどそっちの子がいいな。見た目的には。」
『へー意外。茶髪の女の子好きでしょ?』
「いいおっぱいの形してる。巨乳じゃないのかいいね、美乳。」
「最低だな、女の敵だよ変態女」
二人が言う少女はどちらも可愛い系で、どちらかと言えば騒いでいる方が可愛いだろう。スタイルもナルの言う通り細くなく太すぎず、理想的な体型をした銀髪ロングの少女。
そして絡まれているのが茶色の目と髪をした大きめのニット帽をかぶった少女。
銀髪少女は旅には向かなそうなフリフリなミニスカドレスを着て、茶髪の面倒と顔に書いている少女は改造が施されているが男物のパーカーとジーパンの様だ。
ジーパンは多分切って改造したのかショートパンツになっている。
暫く隠れて出ていく気配を伺って居ると少し雲行きが怪しくなり始めた。
銀髪少女が相手の胸ぐらをつかみ、さり気に橋から落とそうとしているようだ。
「…、笑うなよ。」
『は?何する気?あちょっと 』
ナルは急ぎ足で、二人の少女に向かっていく。
言葉の意味が分からないけれど取り敢えず笑わないように準備しつつリオは後をついていく。
それからナルは茶髪の女の子の背に手を添え、落ちるのをさり気に防ぎ、銀髪の女の子の胸倉を掴んでいる手をそっと剥がし引き寄せ、甘くある程度低く爽やかな良い声で囁く。
「綺麗なお嬢さん方、どうされたんですか…?」
『ブフッ』
一連の美しい動きに女性なら聞き惚れる魅惑のボイス。全てのイケメン要素を凝縮されたナルの出来る技だが、長くの友人からしたら演技過ぎて臭すぎて面白い。
汚い音が口から出たが無表情でいたのは褒めたものだ。
そして銀髪少女は例外無くナルに対し頬を染め上げた。
因みに蛇足であるが本編の番外編みたいなものでナルは怪我中で頭と腕と、見えない部分に包帯や湿布やら大量に身に着けている。
それに比べ茶髪の女の子はなんだか胡散臭いモノを見る目をしている。怪しい勧誘をされてる時の疑いマックスの目だ。
ひとまず安全な橋から二人を誘導すると銀髪少女はナルの腕に抱きついた。
「あの女、悪い奴なの!」
「…えっと?」
「…一応名誉のために言っておきますが、はぐれた友人を見かけたか訪ねただけです。」
「はぁ?まず探してるのがNって事自体が逆ハー狙い確定なのよ!!それに色違いのポケモン持ってるなんて生意気よ!」
「だからその、逆ハー狙いっていうのがいまいち分からなくて。それに色違いが生意気っていうのも…」
「取り敢えずさ?二人の名前教えてくれないかな?俺はナル。コッチはリオ。人の言葉を話せるゴンベだ。話せば長くなるから聞かないでくれるとありがたい。」
「しゃべるゴンベ!?す、素敵ですね…。私はトパーズって言いますぅ!」
「…。私はロメルです。コッチは相棒のハクリュー。久し振りに帰ってきた友人と森に入ってからはぐれてしまって…。緑の長い髪と白いシャツを着てる背の高い電波、こほん、男性を探してるんです。」
「なんでアンタとNが友人なのよ!有り得ないわよモブの癖に!」
「…の、一点張りで会話が進まないんです。」
『あぁ、もしかしてNって王様がなんとかって人?』
「!そう、知ってるの?」
『うん。チェレンからチラッと聞いたんだ。ね?』
「おぉ、あの、なちゅらる・はなもげら・とろぴうす、でしょ?」
『そんな名前なんだ!ナチュラル・ハナモグラ・トロピカル!』
「ナチュラル・ハルモニア・グロピウスです。」
リオとナルが適当な名前をいうとロメルと名乗った少女はクスクスと笑い訂正をした。
一方話には入れなかったトパーズと名乗った少女はぎりりと歯を鳴らし、悔しさを表した。
『良ければ僕等も探すの手伝うよ。チェレンの言う電波、おほん、王様に会ってみたいし。』
「それ、すごく助かります!意外と広くて、何時間も探してるんですけど。出たっていうのも聞きませんし、多分まださ迷ってるかと。」
「、私も探すわ!見つかったら逆ハー気取り、バトルよ!!ナルさん!一緒に探しましょう?」
「思うンだけどホラーとかあるある単独行動は死亡フラグだからみんなで行こう。バラバラに行って見付けても合流できないのは本末転倒だろ?(略:トパーズと二人っきりは嫌)」
そう言うと渋々と言ったふうにトパーズは頷く。その代わり腕から離れない。
ナルは溜息を吐いてトパーズに森の中に引き込まれていった。それを追うためリオも溜息をついてから着いていこうとすると肩を叩かれた。
振り返るとそこに居たのはロメルだった。
『どうかしました?』
「…実はさ、貴方のトレーナーの事。悪い人じゃないかと疑ってたの。ごめんなさい。」
『あぁ、いいんですよ。そりゃああやって話し掛けられれば警戒しますって。アレは対ああゆう女子用なので。』
「本当はいい人なんだね。」
『いや、ただの変態だよ。して、置いてかれちゃいます!急ぎましょう!』
『…きゅぅ(あんまりあの男に近づくなよロメル)』
リオはハクリューがそういったのを聞くと微笑ましくなってくすりと笑った。
追いつくとナルとトパーズは切り株に座って待っていた。不覚にも絵になるな、なんて思ったのはロメルも例外ではなかった。
こういう時の喋るポケモンは心強い。人が少ない為目撃情報はぽけもんくらいしか居らず、かと言ってポケモンの言葉を理解できない人間は聞く事ができない。
そこで活躍しるのはリオ。社交性もあり親近感もあるので野生のポケモンはサラッと警戒もせず教えてくれたりもする。
『…なんか足くじいてた所をこの子達が安全な、人目の全くつかない所に案内したらしいよ。』
「え?馬鹿なの?」
『こればかりは仕方ないよ(震え声)』
「早く迎に行きましょう!こんな汚いところに居るなんて、Nが可哀想だわ!」
『んも!もんも!』
『きゅうっ(モンメン達は住処をけなされて怒ってる。)』
「ごめんなさい、私はとてもいいところだと思う。空気も澄んでて。」
「ちょっと!モタモタしてないでよ!!」
ロメルはせっつかれながらもモンメンにお詫びとして木の実を渡してから歩き出す。
ふと見上げると先に行ったと思っていたナルがニヤニヤとロメルを見ていた。
それでもイケメンなのだから恨めしい。
「…な、何か?」
「いやー、いい子だなぁって。」
「普通ですよ。」
『きゃぅん!(おいスケコマシ近づくんじゃねぇ)』
「こら、ハクリューそんなこと言わない。」
「ふぅん…。俺さ、コミュ障なんだよ。でもロメルちゃんと仲良くできたらなって思う。」
「はぁ…」
「で、仲良くなる秘訣って、共通の人の悪口なんだって」
「…はい」
「つまり、ロメルちゃん、助けてくだしゃいぃ、トパーズがうざいよぉ…!」
ナルは唐突に情けない声をあげた。
ロメルのこの男に対する第一印象はだらしないナンパ男で、怪しい奴だったが、どうやらただのヘタレであるとインプットした。これならNとの愛唱も悪くないかと安心もした。
「じゃあ私が守ってあげますよ。」
「へ?」
「と言っても戦うのはこの子ですけど…」
「頼りにしてますハクリューしゃん!」
『きゃう。(情けない声を出すな)』
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