深紅の薔薇漆黒の蝶

□最後の時君は何を思う
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「あなたもうすぐ死ぬわ」突然現れた死神を名乗る少女


「私がもうすぐ死ぬ?」
少女はクスリと笑う


「どこも悪くないのよ?突然死神だって言われてあなたもうすぐ死ぬなんておかしな話ね?」

少女は信じられないと言うように眉を寄せながら答える

しかし死神だという彼女の体は透けていてさらに中に浮いている

現実なのだろうか…夢?
どっちにしても目の前に確かにこの世のものではない彼女がいる

認めるしかないみたいだ


「まぁ突然出てきて死期を言われて信じなさいって言う方が無理ね」
死神は答える

「死神さん…あなたお名前は?死神にも名前はあるんでしょ?」

少女は死神に聞く

「私は彩絞草実/さいじまそうみ」

草実と名乗る少女はニコリと微笑みながら死神に質問する

「桜咲/さき」

無表情のまま死神は答える

「今すぐあなたが死ぬというわけではないの…でもあなたは死神ノートに名前が乗ってるから近いうちに死ぬ…」

桜咲は死神ノートと呼ばれる携帯形のタブレットのような物を取り出した
文字が3Dのように飛び出して見える

「へぇー…死神でも最新式とかあるのね…ノートって言うからてっきり大学ノートとかだと思った」

草実がクスクス笑いながら桜咲のタブレットを覗き込む

「そっかぁー…私死ぬのかぁ…罰が当たったのかな…」

「後悔しても遅いことってあるよね…今更真面目に生きようって思った時に死ぬって言われて…キツいなぁ」

草実の瞳から涙が零れる
「私この世なんて、自分の体なんてどうでも良くてさ、やりたいようにやってきたんだぁ…体売って、クスリやって、病院にも入れられて、警察にも何度もお世話になった…その度に親泣かせて、最低だよね…私天国行けないね…地獄行きかな?ハハッ…何度も死のうとした…」

草実はポツリポツリと話始めた

「自分で命を絶つと…死神になるわよ」
「え!?」

桜咲の言葉に草実が驚き聞き返す

「あなた…桜咲は、自殺して、死神になっちゃったの?」

「そう…記憶はないんだけどね…人間だった記憶全て消された…どう死んだのかも分からないの…最近死んだと思うんだけど、名前も住んでたところも、何もかも思い出せない…桜咲って名前は大死神(デスマスター)が付けてくれた名前…桜の木の下に居たんだって」

「なぜ泣くの?」

桜咲の話に草実がポロポロと涙を零す

「悲しすぎるよ…ずっと人の魂を取り続けるの?」

「死神は人の命は奪わないわ…死神の仕事は人に死期を知らせ見届ける…人の命を奪うのは悪魔や妖怪…でも私に悲しいとか辛いとかそういう感情はない…無くしてしまったから…人間じゃないから同じかもしれないわね」

「死神は命を粗末にした代償として人の死を見届け続けなくてはならないの…自然死、事故死、病死、殺害、心中など」

「代償……ねぇ桜咲…私…いつ死ぬの?」

「3ヶ月後よ」

草実の問いかけに桜咲が答える

「そう…」
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