深紅の薔薇漆黒の蝶

□最後に君は〜僕編
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最後に記憶に残るのは赤い色

横たわる僕の傍らで意識がなくなる瞬間君が囁いた

最後の言葉

ごめんね

今でも心に残ってる

沢山君を傷つけたね

束縛、嫉妬、狂気

別れを告げる度君はすがりつき涙を流しながら

何度も何度も「行かないで」と

ある日包丁を持って佇む君

怒りに歪む君の顔

いつも君は「ねぇ愛してる?」口癖だったね

「私よりあの子の方が良いの?」
誤解だと…君には届かない

君の頬を伝う涙

はっとした顔をする君

その時には何もかも手遅れで

部屋には真っ赤な血
薄れゆく意識の中後悔している君の顔

「ごめんね…あなただけなの…あなたがいなきゃ生きていけない」

泣きじゃくる君に僕はそっと
「有り難う…愛してるよ」

僕は短い生を終えた


見覚えのない天井
「生きてる」
目が覚めた時不安そうな君の顔

「ごめんなさい…ごめんなさい」
何度も何度も謝る君

不安にさせてごめん…ずっと居るよ
側に…ずっと

そのあと僕は静かに眠りについた

愛してほしかっただっけなんだよね

恨んだりしないよ…有り難う

こんな僕を愛してくれて

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