*オリジナル

□小春日和
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突然トランペットの音がして
意識が覚める。
しかし眠気に襲われ瞼を閉じた

がら、と扉が開く音がする
神原先生だ
しばらくして椅子を引く音がする
寝顔見られたら恥ずかしいと思って体制を変える
頭になにかが触れる、なんだろうそう思うが推測することもなく再び眠りについた



夜来 風雨の声

花落つること知る多少


どれぐらいの時間がたっただろうか
目を覚まし時計を見ると約束の十五分はとっくに越えている
補講の時間ももうすぐ終わりだ
目の前にはすーすーと寝息をたてて眠る神原先生。
ああ、やっぱ先生も眠かったんだ
もう少し寝させてあげた方がいいかな、
と思っていると廊下の方からペタペタ足音が聞こえてきた
なんとなく危機を感じて先生を揺り起こす


「先生、せんせ、起きてください。」


んん゛と唸りながら起きた先生は背伸びをして時計を見たとたんやばっと声を出した。それを廊下をちょうど歩いてきた吹部の顧問が不思議そうに見てくる
起こして良かった……


「やばい……ごめん時間過ぎちゃった」

目を真ん丸くしてあたふたする先生が面白くて笑った

「いいですよ。私も寝ちゃってましたし」

そういうと先生は少し落ち着いて
じゃあ、今日はこれで。
ごめんね。と言って
寝癖を直しホワイトボードを消し始めた
私も軽く机や椅子の整頓をし教科書を片付ける
先生が自分の教科書やら荷物を片付けるのを待っていると
いいよ、先かえっててと言われたので挨拶をし、教室を出た



しーんとしている廊下を歩いていると
教室のドアが急に空き、人が出てきた
トランペットを持った…

「たーなーかっ」

「佐藤ちゃんっ!?」


びっくりしてすこし大声をあげる
佐藤ちゃんはなかのいい同級生だ
吹奏楽部だなんて知らなかった


「さっきいい感じだったよ〜」


私がクエスチョンマークを浮かべているとニヤニヤしながら佐藤ちゃんは
ポケットから携帯を取り出して
画像を見せた


「あー?!」


神原先生と私が仲良さそうに眠っている
さっきの写真だ
とたんに顔が熱くなる


「けっ携帯は、学校内で使っちゃいけないんだよ!!」

「そういう問題じゃないでしょ〜?
……これ、欲しい?」


佐藤ちゃんが私と先生の画像が写し出されている携帯をブラブラ揺らす
くそう……


「……私に送って」

「えー?なんてー?」


「私に送ってっていってるの!!」


大声をだすと後ろから扉の開く音がした


「おー田中ーまだいたのかぁ」

そういって歩いてくるので
佐藤ちゃんが素早く携帯をしまった
そして私の顔をにやにやしながら見つめたあと、呑気に去っていった

「田中ーごめんな
今日は俺も早く寝るから田中も早く寝よう!」

「はいィ!」


声が裏返ってしまって
神原先生が笑った
八重歯がチラチラと見える

明日も補講がある
天気がよくても風が気持ちよくても
明日はちゃんと起きてよう
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