銀魂

□あかい夢を見る
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「なんて説明していいか分からないが…」

そう言って相変わらずの独特な口調で
河上は話始めた。


河上は、
俺を斬ったあと、鬼兵隊の基地につれていったらしい。
理由は、お主の歌が〜 心のリズムが〜
とかセンスのない俺にはまったく分からないことを言っていたが、取り敢えず生かしておきたい。と思ったそうだ。
もう一度言うがまったくわからない。

河上は高杉に俺を手当てしていいか、と
頼んだそうだ。何回も粘っこく申し込んだせいか、そこまでいうなら、とオーケーしてくれたそうだ。
以外に心は広いんだな。

それからというもの河上は俺にその、ゾッコンだったらしい。
なんともきもちわるいことだ。

そして、先ほど俺が河上の口に自分が使っていたスプーンを突っ込んだことにより頭が回らなくなって、ハイテンションを上回り逆に静かになった。

「そういうことか……」

「うむ。」

なにがそういうことか……だ ばかやろう。
心の中で俺は俺に突っ込みをした。
別にこいつのテンションが下がった理由とかどうでもよくて、それよりこいつが俺のことを恋愛的に好き、
ということが大問題なのだ。
だって俺、
河上に斬られてるんだよ?
敵同士なんだよ?
なにより、両方とも男だよ?

こいつに看病されて1日が立とうとしているが、真選組の情報を吐かせるような言動はしていないし、俺がどこかへ行こうとしたら止められたものの、今の俺は手錠もしていないし怪我が痛いので派手に動けないが自由にすることはできる。
それでは監禁目的ということはありえないのでは……?
そしたら河上は本当に俺を……?
いやいやいやいやそれもありえない。
全力で否定する。
くそぉ、どっちに行っても
地獄じゃねぇかァァァァァ

「退殿。いいのか?」

「え……何が?」

「いや、拙者がお主に好きだと言うことを伝えたのに驚きも拒絶もしない。
退殿は拙者の好意を拒まないということなのか?」

「拒みます。」

淡々と冷静な表情をして話す河上は、
ハイテンションだった時とうってかわったようだった。

「お前、なにを考えてるか分からないけどな、そんな嘘に騙される訳、ないだろ。」


例え俺以外の人間だったとしても
一度、身を傷つけられた奴の言うことが信用できるものか。

「嘘ではないのだが……」

河上は少し考えたあとズイ、と顔を近づけてきた。
そして俺の耳元でこう囁いた。

「ならば、接吻でもしてみようか?」

鳥肌が立った。
身体中が大きな怪物にでも舐められたように栗立つ。

「やめろっ……」

そう言って目の前の大きな怪物を引き剥がす。
そしてトドメをさすように枕を投げた。
怪物の顔面にヒット。
怪物は呆気なく俺から距離を置いた。


「いい加減にしろよお前。セクハラにも程がある。」


「拙者が退殿を好きだという気持ちは
伝わったでござるか?」



会話が繋がっていない。面倒くさい。
俺は拗ねたみたいに布団に潜りこんだ。
ああ、伝わったよ。気持ち悪いくらいに
ホモだとかゲイって本当にいるんだ



「枕をしかないと頭が痛くなるでござるよ。」


しかもこんなに近くに。
思ったより、俺って危険な状況に置かれてるのかもしれない。


布団が捲れて、眩しい光が入ってくる。
何事かと思って顔を向けると、
額に柔らかい感触。

ほらね。危険だ。
河上から枕を引ったくる。

奴の唇が触れた箇所をゴシゴシと擦る。
その感触を忘れるように
強く、強く。
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