銀魂

□あかい夢を見る
6ページ/7ページ

やがてふすまが開き、タオルやら水の入った容器やら抱えた河上が入ってきた。

「少し身を起こしてくれぬか?」


体を拭いてくれるそうだ。
なんだか申し訳ない気持ちになりながら
身を起こした。
河上は脇に座ると、手に持っていたものを降ろし、俺の浴衣に手をかける




反射的にビクッと身を強張らせると
河上が手を引いた。


「すまない……自分で脱ぐか?」

「いや……いいよ」

河上が悲しそうな顔をするから
罪悪感を感じてつい返事をしてしまった。
さっきまで元気だった河上どこへいったのか。


割れ物に触るかのように俺の浴衣をおろしていった。
時々肌に触れる河上の手は少し暖かい。
包帯を解いていくと痛々しい傷が露になった。


「その……申し訳ないでござる」


なぜ謝る?
あの時点で刺してないほうが可笑しい。
お前は敵だった。だから斬った。
なにも謝ることはない。

「べつに、いいよ」


謝らなくてもいいよ、そんな優しい言葉かけることができなかった。
あのとき俺が死んでいたら…?
そうも考えてしまったから。

傷をなるべく避けるように上半身を拭いていき、最後に新しい包帯を巻いてくれた。
空気がすごく重い。
前までこいつのせいで明るかったのに。


「下半身はどうする?」

「じ、自分でやるからいい」

そう答えると河上は部屋を出ていった。
やつが出た後も部屋は重たい雰囲気包まれていた。


そとには雨が降り始めていた。






拭き終えると河上が来るのを待った。
聞きたいことがある。
どういうふうに聞こうかとあれこれ考えていると彼は来た。



「拭き終わったんでござるか。」


そう言ってタオルを持っていこうとする河上の手を俺はつかんだ。
そんなつもりじゃなかったのに勝手に体が動いた。


「……なんでござるか?」


「さっきまで煩かったのにどうした?
急に静かになって……気色わるいぞ」


ちょっと言い過ぎたか、と思ったが
俺の言葉を聞いて河上が微笑した


「退殿も静かになったでござる」


理由は教えてくれないのか。
不服そうな顔で見つめるとまた
河上が微笑した。

そして腰を俺の近くに落ろした。
大人っぽい匂いが俺の鼻を擽る
香水だろうか?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ