銀魂

□あかい夢を見る
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「さ〜がる〜どの〜〜〜〜!」

やめろビブラートを効かすなコノヤロウ
リズムをいい感じにつけるなコノヤロウ

化け物3匹 VS 犬 ってもう終わりじゃん
戦うまでもないじゃん

「河上万斉っ………!」

ごくりと息を飲んだ。
俺が漂わせている緊張感をガン無視して河上は布団の側に来た。
あれ…?コイツこんなやつだったっけ?

「どうして俺を殺さなかった。
これからじっくりかけて殺すつもりか?それとも焼きそばパンを買いにいかせるつもりか……?」

なにはともあれ用意しておいたセリフを口に出す。
ただしコイツにちゃんと聞く耳があるのかは分からない。

「さーがるぅぅぅどのぉ」

ほらね全然答えない。
こいつはこれしか喋れないのか
河上は顔をグリグリと俺の頬に押し付けてくる
俺の真面目なセリフ台無しじゃねーか

「クククッ……邪魔しちゃあ悪いから
俺ぁ別の部屋に行くぜ」

「え、ちょ……まっ」

「待ってください晋助様ァァ!」

「お……いっ」


ドタドタと二人が退出している姿を身動きができず
一人で焦ることしかできなかった

晋助達を止めようとした言葉が部屋の隅っこに静かに落ちた
河上はまだ山崎の顔に頬擦りをしている
一瞬動かなくなったかと思うと
胸元の浴衣をはだけ始めた


「おいィィィィィ!!!なにやってんのォォォォォ!?」

「スーハースーハー」

山崎の首筋に顔を埋め深呼吸をする
払おうとするが傷が痛み思うように動けない

「やめてェェェェお巡りさんここですぅぅ」

「お巡りさんはお主でござる」

「シャベッッタアアアアアアァァァ」

「元気だな退殿は。
……さてこっちの退殿も元気にしてみせよう」

ガシッと反射神経的に河上の手を掴む
やばい。コイツはやばい。俺の体がそう言ってる


「……どうしたでござるか?」

「……どうしたでござるか?、じゃねーよ!!!不思議そうな顔をするな!!!」

そこに正座しろ、と河上に命令したのに
奴は俺を挟むように後ろから抱き締める形で座りやがった

「おい…お前なぁ」

「分かってる
怪我には触らないでござる。」

いやそういう問題じゃなくて

「この形だと退殿の顔が見えないが
我慢しよう。」

いやそれもおかしいでしょ

突っ込みを声に出すのもめんどくさくなり、ため息だけが口からでた。

「いい?俺敵なの、お前らの敵の真選組」

「承知してるでござる」

「それから俺男。そんなべたべたするもんじゃないの」

「承知してるでござる」

「あと、お前俺のこと殺そうとしたよね?おかしくね?」

「承知してるでござる」

いや、あのさぁ……

「なんなのお前……」

「退殿を愛する
しがない人斬りでござる」

「危険すぎるだろ……」


殺されると思っていたがそんなこともなく、舎弟の話も出てこない。高杉達も温厚だった。
罠…?これは罠なのか…?


「何を難しい顔をしておる?
…………新しい環境で疲れたでござろう
睡眠でも取るといい」

眉が下がり優しそうな顔をしたので
俺は一瞬戸惑ったが、うん。と答えた
本当は身の危険があるが
今の俺には傷というハンデと
刀を持っていないというハンデがある。
正直今眠いし、今やりあっても勝てる気がしない。いや、いつやりあっても勝てる気はしないけど

「じゃあ……」

そう言って河上は俺の後ろから退き、
上半身を起こしていた俺を寝かせた
そのまま床に床に座って…

「いや、部屋出てていいから」

「ここは拙者の部屋でござる」

「知らねーよ。んなこと早く出ろ」

「酷いでござる。ただ退殿が誰かに襲われないように心配していただけなのに」

いや、一番危険なのおまえだから。

「もういいよ。おやすみ。」

「ああ、おやすみ」

しばらく警戒して寝たフリをしていた
河上は俺に触れることがなかった
ただ紙のガサガサとした音や
筆をインクにつける音が聞こえてきた
しばらくして音が聞こえなくなったから
なにしてんだろうと思ったら
俺の頬に手を這わせてきた
急なことだったから思わずビクッとしてしまったが河上はなにも言わなかった
ゆっくりと俺の頬を手で往復して撫でたあと、俺の前髪をグッと上げた
そして柔らかいものが俺の額に当たる
コノヤロウなにしやがる
これ以上なにかやったらぜってー起きてなんか……なんかやってやる!
そう思ったがそれ以上河上は触れることなく襖が開いた音と閉めた音がした

チェリーボーイになにやってくれてんの
これ報告書になんてかけばいいの
さっき俺は精神的な死、と上げたがやはりその通りで、でも思っていた精神的な死とは違くて、正直こいつの行動に引いたし戸惑ったし良く分からなかった


眠ればなにか変化が起きるかも。
額に残る唇の感覚をごしごしと袖で擦った。額が赤くなるほどに
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