鬼灯ノ夢
□君ヲ想フ
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『ごめん…ね…、鬼灯……』
何故湊は、私に謝るのでしょう…。
湊に拾われてからしばらくの月日が経ちました、鬼になってからは時間が過ぎる感覚が鈍くなり細い日数を捉える事が難しい。
平穏な日々の中で時々湊はこの上ない程酔っ払って帰ることがあり、酒には強いはずなのにどれだけ飲んだのか分からない。
そんな時、決まって私の名を呼びながら『ごめん』と呟く、何故謝るのか…何故謝らなくてはいけないのか。湊の内にあるその言葉の意味を理解する事が出来ないのです…。
本人に直接聞いても逆効果でしょうし…
仕方無い、あの薬屋を訪ねてみましょう。
「…こんにちわ」
「あれ、鬼灯?ちょっと大きくなったなぁ、今日はお使いか何か?」
「いえ、貴方に聞きたいことがありまして(不本意ながら)」
「なぁんか小さく聞こえたけど、まぁいいか…。なんだい?」