鬼灯ノ夢
□獣卜青年
1ページ/6ページ
此処は、現世のとある山奥。
季節は梅雨に入ったばかりで湿気を含む、湊は守護地域を一人歩いていた。
今日は見廻りをする為にホモサピエンス擬態薬(仮)を白澤から特別に処方してもらい、人間の姿になりきっていた。
この地域で人間が獣に襲われるという事件が連続発生している為、自分を囮にして誘き出せないかと考えたのだ。
しかし雲行きが怪しくなりいきなりの土砂降り。
傘を用意するよりも走った方が早いと、小さな祠を見つけ逃げ込む。
『っあー現世は好きだけど、この雨ってやつは好きになれない!』
ぶつぶつと文句を言いながら祠の屋根の下に逃げ込むことが出来た、どうやら先客が居たようで大きな荷物を降ろし石段に座っている。
(何この男前超タイプ!!)
心の中で呟いて、平静を装う。
涼し気な表情に妖しさを誇張させる長い髪、その間から覗く瞳からは感情が読取れない。
少なからずの好奇心と、もしや獣ではないかとの疑いもあり話し掛けてみる事にした。