桜と鈴蘭
□第三話
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此処は関東妖怪総本山・奴良組の本家。
そこの広間には5人の人影?があった。
そのうち2人は上座に座っていた。
「鯉伴。リクオはまだ帰ってこんのか?」
「そろそろ帰ってくるだろ....お、声が聞こえたぜ。親父。」
上座の2人が話している間、他の3人は黙って待っていた。
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「ただいま〜....」
「若!お帰りなさいませ!
広間にて総大将と二代目がお呼びです!」
「え〜....分かったよ....(どうせ三代目になれとかだろ....はぁ....)」
リクオは帰ってきた途端、自分の祖父と父親に呼ばれて思わずため息をついた。
(そう言えば....桜丘さんのことじいちゃんち知ってるかなぁ....?)
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広間に入った瞬間、否、祖父と父親の前に座っている3人を見た瞬間リクオは固まった。
「なっなんで桜丘さん達が!?」
「さっきはどうも(ニコッ」
そう、そこには旧校舎に来ていた鈴音と雪華と雷獣が居たのだ。
それも、3人とも妖怪の姿で。
「なんでぇリクオ。鈴音に対してえらく他人行儀だな。」
「........は?」
「鯉伴さ....二代目。私から伝えさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「おぅ。」
鯉伴の言葉にまたしても固まったリクオを見て鈴音は口を開いた。
「先程は名乗りもせずに申し訳ありません。
....私は桜蘭組三代目総大将桜丘鈴音です。
..................思い出して頂けましたか?若頭。」
「....えええぇぇぇぇえ!!!!!?」
リクオは鈴音の名乗りを聞いて思いっきり叫んだ。暫く会っていなかった幼馴染みが急に帰って来たのもあるが....
「鈴音ちゃんって....妖怪化出来たの....?」
「ええ。7歳の時には。」
「ほぅ!!流石風魔の娘じゃな!
うちのリクオは8歳の時じゃよ。」
「じいちゃん!僕は知らないって言ってるじゃないか!!」
リクオが鈴音の妖怪の姿のことを言ってから暫くそんな話が続いた。
鈴音の後ろに控える雪華と雷獣はそんな光景を微笑ましく見ていた。
「まぁ、積もる話もあるじゃろう。
リクオの部屋で話してればよい。」
「お。親父気が利くねぇ。
じゃあ、俺達は雪華と雷獣と話があるから。」
言い合いが終わると総大将と鯉伴はそう言って
2人を外に出した。
2人は顔を見合わせてお互い苦笑いをした。
「えっと....取り敢えず行こうか。」
「そっそうだね....」
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