桜と鈴蘭
□第一話
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「りくおく〜ん〜!!」
本家の門から可愛らしい声が聞こえた。
声の主は目当ての子をみつけ、手を振っていた。
「すずねちゃ〜ん!!」
相手の子もこちらに気付き、抱きついてきた。
「リクオ君、久しぶりね。」
鈴音の母親がリクオの頭を撫でた。
リクオは「うん!」と言って鈴音をつれて家へ
走っていった。
「よぉ。相変わらずだな。風魔、空。」
と、今度は黒髪の長い男がやってきた。
彼の髪は横に伸びていた。
風魔と呼ばれた鈴音の父親は笑みを浮かべ
「よぉ。お前もな鯉伴。」
と言い、
「あら、鯉伴さん。ご無沙汰で。若菜いる?
お土産持ってきたんだけど。」
と、空と呼ばれた鈴音の母親は鯉伴の妻・若菜
を探した。
「ああ、若菜なら今は台所じゃねぇかな。」
鯉伴はそう答えると空は礼を言って台所へ向
かった。
「全く、鈴音といい空といい、元気だねぇ。」
風魔はそう言って笑っていた。
「うちのリクオも若菜も元気だぜ?
特にリクオなんていたずら過ぎてな?」
「いや、それ絶対にお前が教えてんだろ。」
「バレたか。」
父親二人はそんな会話をしてた。