ラブライブ!サンシャイン!!ー18人の軌跡ー
□#0:諦めかけた夢
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その後、翔と星空は旅館内に一つだけ空いている部屋を使って掃除や自分たちの荷物を置き始める。
星空「よし。とりあえず翔が使う物は所々置いたわね。後は引越し屋が家具やベッドが来ればいいわね」
星空は背伸びをしながらそう言うと、翔の浮かない顔を見て話しかける。
星空「どうしたのよ?慣れない環境に緊張しているの?」
翔「それもそうだけど、本当にこの旅館で住み込みとして暮らすの?」
星空「当たり前じゃない。もう志満さんとは話したし、荷物も置いた。完全に住み込みよ?」
星空の台詞に翔は全く説得力がないと確信する。
翔「じゃあさ、なんで俺があのバカ千歌の隣の部屋なんだよ?なんで女子部屋の隣にしなきゃならないんだよ!?」
星空「だって、ここしかないし」
星空のまたもや説得力がない言葉に翔は話しているだけでも無駄だと完全に確信した。
星空「そう落ち込まないでよ!アンタが小さい頃、千歌ちゃん達と一緒に遊んでいた浜辺でも行きなさい」
翔(知らねぇ癖に…)
翔は不満そうな顔のままそう心に呟くと、星空に言われた通りに旅館の近くにある浜辺へと向かった。翔は着ていた灰色のパーカーに着いてあるポッケに手を突っ込みながら海を眺めながら歩いていく。
翔「変わんねぇな…ここも…」
???「あれ、翔?」
翔が海を眺めていると、後ろから男性の声が翔の名前を呼ぶのを聞こえて振り向くと、そこには翔と同じくらいの青年の姿があった。翔は青年の顔を見つめるが、腕を組んで分からない表情をする。
大地「分からないか?俺だよ!高山大地!忘れたのか?」
翔「高山……大地……あっ!」
翔は頭の中にある記憶を呼び起こして幼い頃に浜辺で一緒に遊んでいた時を思い出す。その中には3人の少年の内、やんちゃな性格をしていたのが目の前にいる高山大地だった。
大地「思い出したか?」
翔「思い出した…ガキの頃に大地と悠人の2人と一緒に遊んだ!」
大地「そうだよ!久しぶりだな!」
翔「ああ!…てか、お前よく10年以上の前の事覚えていたな」
大地「当たり前だろ!学校で習った数式は忘れても、友達と遊んだ記憶からは忘れねぇぜ!」
翔(記憶力がいいんだか、悪いんだか…)