ラブライブ!サンシャイン!!ー18人の軌跡ー
□#0:諦めかけた夢
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「……かけ……かける……翔!」
翔「…?」
女性の声が聞こえた青年、大空翔が目を覚ますと辺りは真っ暗なトンネルから急に全体を通して広がる光に翔は思わず目を細める。エンジン音と車内のBGMに起き上がる翔は車内の窓を見上げると、目の前には青く煌びやかな海が広がっていた。
翔「母さん、今どこら辺なんだ?」
星空「静岡県の沼津って所。アンタ、出発してからすぐに寝たんだから…まったく」
翔は運転席で車を運転する母親の大空星空(そら)に場所を聞くと、静岡県沼津市という聞いたことがある名前だと頭に浮かんだ。
翔(沼津……ガキの頃に遊んだ場所、もう10年以上前になるのか…)
翔は心の中でそう呟くと、1分もしない内に車は目的地に到着して車を停めた。着いた場所は十千万という旅館であった。
翔「十千万って、確か…」
志満「あら、いらっしゃい!」
星空「どうも、ご無沙汰しています!」
星空は車を降りると、出迎えてくれたのは当旅館の女将的立場である高海志満という女性であった。
志満「ここまで来るのに大変だったでしょう?」
星空「全然!東京からだったらそんなにかからなかったわよ」
志満「そう。あら?もしかして、翔くん?」
翔「ど、どうも…」
翔は星空と志満が仲良く話しているのを見て車から降りると、志満がこちらに振り向き、翔は頭を下げて挨拶する。
翔(志満さんは母さんと高校からの同級生だったんだもんな…)
星空「翔、荷物運ぶから少し手伝って!」
翔「ああ……え?今なんて?」
星空「だから、私たちの荷物運ぶから手伝ってって」
翔「それは分かるけど…えっ?もしかして、ここで住むのか!?」
星空「そう!今日からこの十千万で住み込みとして暮らすの!知らなかったの?」
翔「いや、知らないっていうか…そんな話初耳なんですけどー…」
翔は声の低いトーンで話すと、少し昔の記憶を探りながら戸惑っていた。この旅館には、3人の姉妹がいた。1人はおっとりとしている高海志満。もう1人はボーイッシュな性格をしている高海美渡。そして、最後の1人は翔と同じ高校二年生で、明るく屈託もないとにかく普通な性格だが悪く言えばバカと名乗るとおかしくない高海千歌という人物がいる。
翔「今思い出した。ここは……あのバカ千歌がいる所だったああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」