闇夜の星

□第2話
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「━━━成人の儀を行った屋敷へ?」

「うん この時計を見つけたのは あそこだから… アリスの記憶について何か わかるんじゃないかと思って

ダメかな…?」

オズ=ベザリウスが目尻を下げながら そう聞いてきた。

「いいですヨ」

「……」

「コラ なんで そんな驚くんデス」

思わぬ返答にフリーズしたオズ=ベザリウスをブレイクの手刀が襲った。

「いや……【部下になれ〜】とか言われたから てっきりパンドラに連れてかれるのかと思ってて」

『そうしたいのは山々なんですが… そのための準備がこちらにも色々あるんですよ… 』

疑問をぶつけてきたオズ=ベザリウスに 俺はそう答えた。

「まあ ご心配なく 君達には ちゃーんと仕事をあげますから♡」

けけけけ と不気味な笑い声をあげながら、ブレイクはカバンから資料を取り出した。

その資料をオズ=ベザリウスが手に取る……。

『その資料の町では違法契約者による殺人事件が多発しています』

「そう…ですから…… 悪いんですが 途中に寄ってパパッと犯人捕まえてきてくださーい♡ 今ならせんべつにアメ缶をプレゼント〜♡ 欲しい人ー?」

「まじで?!わー!欲しい!欲しい!」

子供を菓子でつるとは……ブレイクも汚ない奴だ……。

「なんで そんな寄り道をしなきゃならんのだっ」

「アリス…?なんで隠れてんの?」

イスの後ろに隠れて、いかにも嫌そうな顔をしたアリスがブレイクを にらんでいた。

「私の目的は 記憶のカケラを探すことだぞ!」

「わかってますよ?だから……」

ブレイクが笑いながら、アリスに近づくと……

「近づくな このピエロめ!!シャーッ!」

アリスは、まるで猫のようにぶちギレてしまった。


「オズ君 ワタシは彼女に嫌われているんだろうか…… ブレイクかなしい…」

「ばっかだな あれはただの照れ隠しだって 気にすんなよ☆」

いや、あれはさすがに照れ隠しのレベルじゃないだろ…

「おい オズ なぜ意気投合してる。」

「あはは だってさー もしかしたら ここに記憶があるかもしれないじゃん?」

「なに…?」

議論を始めた二人を尻目に、たたずんでいた俺とレイヴンにお嬢様がお茶を用意してくれた。

俺たちはお茶を飲みながら、二人の話を聞いていた。

「オレの時計に入ってた記憶はアヴィスへの道をつなげた
そんでもって そこから出てきたチェインに取り込まれこまれちゃったわけだ

だったらチェインがいる場所に 記憶がある可能性を否定できない そうだろ?」

「う……」

気に入らない様子だが、納得するしかない その説明にアリスは黙ってしまった。

「いやぁ〜 オズ君は見かけによらず理解力があるねぇ」

「どっかのバカウサギと違ってな!」

「こらこら ほんとのこと言っちゃダメだよ エミリー♡」

エミリーを使って、間接的にアリスをバカにしたブレイクにアリスが殴りかかろうとしたが、オズ=ベザリウスに止められていた。

「ふっ…まあいい 私は心が広いからな!その任務とやらにも付き合ってやろう

せいぜい足を引っぱらないようにするんだな 愚民共!」

相変わらずの偉そうな態度でアリスが言い切った。

「一人じゃ戦えもしないくせによく言う」

「黙れ!きしゃーっ!」

レイヴンがあきれたように呟くと、アリスがまた怒り始めた。

オズ=ベザリウスも その様子を微笑みながら見ている。

「う〜ん いい感じに なじんできてるネェ━━━でも……」

ブレイクがオズ=ベザリウスの肩に手を置いてこう言った。

「あまり彼女を信用しない方がいいヨ
彼女は決して君の《味方》ではないし 恐らくまだ何かを隠してる

小さい頃 言われたでしょう?《嘘か隠しごと ばかりする人は━━》」

「うん いい例がここにいるもんね

ブレイク達は あいつより もっと多くのことをオレに隠してる
《━━そういう人のことを
簡単に信じちゃいけないんだ》」


「そう それでいいんデス」


ほんとに、大人っぽい少年だな。オズ=ベザリウス。

……つまりは、俺もオズ=ベザリウスからしてみれば、信用できない人物ってことか…。

まぁいい。信用なんて、そんな簡単にうまれるもんじゃない。

自分たちのことを何も話していない俺たちを信じることなんて、あまりにも危険すぎるしね。
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