闇夜の星

□第2話
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「お兄さんたち お花を買ってくれませんか?」

かわいらしい少女が、俺とオズに話しかけてきた。

その花をオズが受けとる。

「ありがとう、お兄さん!」

俺も手を出して その花を受け取った。

「赤毛のお兄さんも、ありがとう!」

『あぁ…』

かわいらしく笑う少女だ。

感謝の意味を込めて、俺も微笑み返した。

「お兄さんたちは この町の人?」

「いやー違うよ 人捜しに来たんだけど 連れが迷子になっちゃってさー
今 パパが捜しに行ってるところ♡」

オズが笑顔でとんでもないことを言っている。

「誰がパパだ」

レイヴンが、怒りが滲み出ている声でそう返す。

『お アリス 見つかったか よかったね』

「ったく 手間とらせやがって……」

一応、声はかけたが、レイヴンはイライラしたままだ。

「じゃあ、私はこれで……」

花売りの少女が去ろうとする。

「ああ ちょっと待って!」

それをオズが呼び止め、少女の耳にさっき もらった花をかけた。

「え…?」

少女も思わぬことに困惑している。

「オレが持っててもすぐに枯らしちゃうもん
でも こうしておけばさ……

オレの中で 君の姿と共に 咲き続けるだろ?」

キラキラというのが一番合うであろう笑顔でオズが少女に そう言った。

なんだろう。オズの後ろに たくさんのバラの花が見える気がするんだけど……

『ずいぶん キザなことするんだな』

「どこのホストのセリフだ それは」

レイヴンもあきれながら、そう言った。

「全く…こいつが迷子になったおかげで とんだ時間の無駄だな」

と、さっき やっと見つけたアリスのことをレイヴンは そう言った。

「何を言う!私は迷ってなどいないぞ!
私から離れたおまえらが悪いんだ!!」

「てめぇ…」

なんて理不尽なんだアリスは……。

まぁ、確かにそれも一理あるかもだが……少しはこっちの身にもなってもらいたいものだ……。

「大体 歩きながらきょろきょろするな!みっともねぇ どこの田舎もんだ てめぇは」

「仕方ないだろう!私にとっては 初めて見るものばかりなのだから ガキ扱いするな このワカメあたま!」

「あのな…オレたちは遠足に来たわけじゃないんだぞ!」

二人は また言い合いを始めた。

そんな様子を、さっきの少女から もらった花を 嬉しそうな顔で見つめるルイの横で、オズはブレイクにもらったであろう アメを開けながら見ていた。
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