闇夜の星
□プロローグ
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━━━━━━━━「オズ=ベザリウス
我が断罪の鎖を以てして 今お前に裁きをくだそう
お前の罪……それは━━━━━━━お前の存在そのものだ 」━━━━━━━
ベザリウス家の成人の儀でアヴィスに落とされた少年がいた。 名はオズ=ベザリウス。
その成人の儀があった日の深夜、嵐の中で静まりかえっているレベイユの町を駆け抜ける一人の少年がいた。
彼の名はルイ=アルフォード。
彼の服は赤黒く濡れていて所々破れていた。
また 彼の自慢の赤毛も赤黒く染まっていた。
そして まるで何かに怯えているように、ただ その何かから逃げるよう走り続けていた。
だが 疲れて、雨に濡れて冷えきってしまっている体では まともに走ることもできず、度々地面に体を打ちつけていた。
ビシャッ 再び少年は倒れこんだ。
『はぁ、はぁ、はぁ……』
どうして……どうしてあんなことに……一体誰が……なんで……なんでなんだ……
父上とリサさんとリュートをあんなになるまで……それだけじゃない、Mrs.ローズや使用人のみんなまで…… 一体俺たちが何をしたって言うんだ。 何が気に入らなくて……俺の大切な人たちを奪うんだ……。
『うわぁーー!!!!』
少年は誰に届くでもない叫び声を上げた 。
その叫びは叩きつけるような雨音によって掻き消されていた。
その叫びに含まれていたのは果たして、悲しみか、怒りか、はたまた後悔なのか……。
すでに傷だらけになった足で、どこを目指すともなく少年は走り続けた。
その顔には涙が浮かんでいたのかもしれない。
だが 降りしきる雨の中では分からないことだった。
その日以来 少年の姿が見えることはなかったという。
それから2年後のレインズワース家の庭で、その少年が見つかるまでは……