gift

□ちょこれぃと
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『チョコにはまる人はキス不足。チョコの口の中でとろける快感は、キスの4倍にも相当し、チョコを食べ過ぎる人は欲求不満の証。』

ルーシィの読んでいる本を珍しく盗み見たナツが突然話し掛けてきた。

「そうなのか?」
「は?なにが?」
「チョコがキスの4倍気持ちいいって?」
「え?そう書いてあるからそうなんじゃないの?」
「そっかぁ……うーん?どうすっかなぁ……比べてみてぇな。」
「だ、誰が?」
「俺が。」
「な、んで?」
「うーん?」

腕まで組み、考え込んでしまったナツ。その隣で、目を見開き口元は歪んではいたが、弧を描いているルーシィがいた。
歪んだ弧が真一文字に引き締められ、見開いた目が瞬きをした時、ナツがもう一度言葉を発した。

「だってよ、ルーシィ最近チョコばっか食べてるからよ。俺とのちゅーがつまんなくなってきたのかなぁ……なんて……ごにょごにょ……」

だんだんと声が小さくなり、恨みがましく睨んでくるナツのそんな様子が可愛いくて仕方がないルーシィは思わず吹き出してしまった。

「な、なんだよ。笑うことねぇだろ。」
「あは、あはは、ごめんごめん、つい。」

ついってなんだよ。と、といとうイジケてしまい、ルーシィに背を向け足を抱え丸くなってしまったナツの背中を優しく撫でながら、ルーシィは最近チョコを食べている訳を話した。

エルザがチョコで有名な街に依頼で出掛けたさいに喚装魔法をいたく気に入った依頼主が、大量のチョコを追加報酬と言う名目で貰ってきたのだ。それらは全てその夜に予定していた妖精の尻尾の女子会メンバーで分けてしまい、男性陣には行き渡らなかったという事だった。

「なんだよ、じゃあ、そのチョコ俺にもくれよ。まだあんだろ?」
「ご、ごめん。これが最後なの。」

苦笑いしつつもルーシィは手にある黒く光沢のあるチョコは、真っ直ぐに口内へと投げ入れた。

「あっ、ずりぃっ。」
「んぐっ!?」

口内へ消えたチョコを追うかのようにナツの唇がルーシィの塞がった唇を被う。
唇を割り、歯をこじ開けるとルーシィの舌の上にあるチョコを自分の舌で取り出そうとしたナツだが、トロリと溶けだし甘い甘いチョコの味とルーシィの味が広がり、なんとも言えない感覚に支配された。
ルーシィの口内の隅々を味わい、チョコの味が完全に消えたときに漸く本来の目的を思い出し唇を離せばぐったりとして酸素を求めて荒々しく呼吸をするルーシィの姿が目の前にいた。

「なぁルーシィ。」
「はぁ、はぁ、んん?なに……なつ……」

息を整えたルーシィにナツは聞く。

「俺とのちゅーつまんねぇ訳じゃないんだよな?」
「あ、当たり前じゃないむしろすっ!!」

次に出る言葉を真っ赤な顔をしたルーシィが慌てて口をへの字に閉じたが既に遅かった。
にかりと満面の眩しい笑顔を浮かべると同時に再び、今度はルーシィを求めて唇を塞いだ。

おしまい
2015/01/01林檎

Twitterでお世話になっているとある方へのお誕生の贈り物です。
林檎のショボい文章を受け取って頂きありがとうございます(*´ω`*)
いあ、本当にありがとうございます。
これからもお付きあい頂ければ幸いです。

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