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□悪戯作戦大成功?
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注)ifの世界ではありません。


ナツは悩んでいる。周りからあのナツが悩み事があるなんて、槍が降るんじゃないかと言われるくらいに。
テーブルに置かれたファイアドリンクを片手で握ってはいるが、額はテーブルに擦りつけられている。

「ナツどうしたのさ。珍しく悩んでいるみたいだけど。」
「んあ?ハッピーか。いあ、実はな、ネタがねえんだ。」
「ネタ?」
「おう、ルーシィに仕掛ける悪戯のネタがねぇ…」

ナツはハッピーに少しだけ目線を合わせ、大きな溜息を吐いた後、またテーブルに額を付ける。
そう、最近のナツはルーシィに対しての悪戯に全力を出している。ルーシィにとってはハタ迷惑なだけなのだが、怒りはするものの、最後には笑顔でナツを許していた。
そこがナツの悪戯を助長しているのでは?とハッピーはいつも思っている。他にも心当たりがない訳ではないが…

「じゃあ、今度は、こんなのどう?」
「お?どんなだ?」
「あのね?こしょこしょ…」
「お?おお!?そんなんで悪戯になんのか?」
「これは、オイラがしても効き目は無いんだ。ナツだから出来る悪戯だよ。頑張って。オイラ向こうで応援してるね。」
「おう、ありがとなハッピー。」

元気を取り戻したナツは、ハッピーが考えた悪戯をルーシィに仕掛けようと、カウンターで本を呼んでいるルーシィの元へと駆けていく。
ルーシィはナツが隣に座った事が分かっていたが、素知らぬ顔で本を読んでいる。

「なあ、ルーシィ。」
「…」
「なあなあなあ。」
「もう、なによ!読書の邪魔しないでくれる?」

笑顔でしつこく話しかけてくるナツに、呆れ顔ではあったが声は少しばかり弾んでいた。

「ルーシィってさ、色気ないよな。」
「うぐ、今更再確認しましたって顔で言わないでくれる!?」
「いあ、その方がいいって。」
「…は?」

何時もなら、自意識過剰だのというはずが、何故か今日は違う方向へと向かっていた。
ルーシィは何が起きたのか理解出来ずに、ポカンと口を開けて固まった。

「ほら、ルーシィは街歩いてたら、モノ好きな野郎共に声掛けられてるじゃねえか。それって可愛いからだってマカオが言ってたしよ。それに色気があったら誰もほっとかねえってワカバは言うし。」
「ももも、モノ好きって何よ失礼ね!!」
「まあまあ、落ち着けって。しわ増えんぞ。」

顔を赤くして、甲高い声で怒りを露わにするルーシィを宥めるかのように、頭を撫でる。
頭に手を乗せたまま、顔を近づけ、今の今まで笑顔で話していたナツの表情が真剣なものに変わる。

「最近お前。良い匂いしてんだよ。そのせいか、前より野郎に声掛けられてるじゃねぇか。その匂いやめろ。」
「ににに、匂いって!?あああ、あんたが香水嫌いだからって付けてないわよ!!てか、近い近い!!」
「ん?そうなのか?すげぇ俺好みの匂いなんだけど。付けてないなら、まあいいか。」
「ここここっ!!」
「鶏か?」

何時も通りに話すナツだが、彼に密かに想いを寄せるルーシィにとっては違っていた。
ナツの口から良い匂いだの、俺好みだのと言われて冷静でいられるわけがない。
顔を更に真っ赤にして、大事な本を握りしめている。挙動不審となったルーシィの姿にナツは気を良くしたのか、笑顔に戻ると更に言葉を続けた。

「ルーシィは、小説家になるのが夢だったよな。何時もは茶化してっけどホントは応援してんだぜ?知らなかっただろ。ルーシィなら出来るって。俺達が応援してるぞ。だってよ、俺は本とか読むのは嫌いだけど、ルーシィのなら読める気がすんだ。だから今度短い話書いてくれよな。あ、そうそうこの間のビーフシチュー上手かったぞ。お前は文句言いながらもしっかり俺とハッピーの肉多めとデカイ煮魚作ってくれたじゃねぇか。あれ上手かったからまた作ってくれよな?何なら今から作ってくれ。おい?ルーシィどうした?なんか言えよな。」
「あ、ぅぅ…」

ルーシィは、ナツの顔を直視できなくなり、顔を横に逸らす。
だが、ナツはこっち向けと彼女の頬を両手で挟み、自分へ向けさせる。

「聞いてんのか?言いたい事はまだまだあるんだからな。よっく聞けよ?」

ルーシィの事は熟知していますと言わん限りにナツはルーシィの性格や、気性をつらつらと喋り続ける。
それはほとんど褒めている内容だった。
ルーシィにハッキリとした反応が無くなっても、ナツはまだ続けていた。

「仲間が大切なのは皆同じだ。だけど、だけどな、お前はもっと自分も大切にしてくれ。それこそ仲間を大切に思うくらいに。でないと、俺達………俺は不安なんだ。お前が何時か俺の知らない所でいなくなっちまうんじゃねぇのかって…。いいか?絶対に黙って俺の前から居なくなんじゃねぇぞ。でないと…んあ?話それたな。褒めるんだった。だからな、ルーシィ、お?おあ!!大丈夫か!!」

ルーシィの頬が熱いとよく言われる自分の掌より熱くなっているのにナツは気が付いた。
顔は赤というより、紅色に染まって目は見開かれ、口は空気を求めてハクハクと動いていた。本能的にヤバいと思ったナツは、ルーシィの頬を解放する。
解放されたルーシィの頭はかくりと俯く。

「ルーシィ??」

反応が無くなった様子に、流石に心配になったナツが俯いた顔を覗き込むと、ルーシィがナツに向かって倒れてきた。

「ぎゃあああ!!ルーシィが気ぃ失ってる!!??なんでだ?ハッピーぃぃぃぃっ!!」

ナツとしては、照れたルーシィからアッパーカットくらいは受けるつもりでいたが、気絶してしまったのは想定外だったらしく、見たことも無いくらいに慌てふためくとルーシィを抱えてハッピーに助けを仰いだ。


「なぁ〜つぅ〜」

地を這うような声が、ギルドの入り口から聞こえてきた。
ナツが声の主に振り返れば、そこにはたった今仕事から帰ってきたエルザが鬼の形相で立っていた。

「貴様はルーシィに何をした!!そこになおれぇっ!!」
「え?ちょ、待て待て誤解だ、ぅぎゃぁああぁぁぁっ……」

問答無用のお仕置きを受けてる間、ハッピーは翼でルーシィに風を送り介抱していると、今まで傍観者に徹していたグレイが話しかけてきた。

「ハッピー、お前はナツに何を吹きこんだんだ?」
「うーん、ナツが悪戯のネタが無いからって言うから、今までしたことない褒め殺しをしてみたらって教えたんだけど。」
「…褒めてるうちに口説き始めたって訳か。しかもクソ炎は全く気が付いてないときたもんだ…姫さんも大変だな。」
「オイラは途中でルーシィの拳が炸裂すると思っていたんだけどなぁ。当てが外れちゃった。くぷぷ。」
「……ハッピー…まさかとは思うがお前、二人に対しての悪戯だったのか?」
「何の事?でも、好きって言葉が出なかったのは残念だったなぁ。」
「は、はっぴーさん?」
「くふくふふふ…」

グレイは、含み笑いをするハッピーの背中の羽が一瞬黒く見えたとか。


おしまい

遥さんお誕生日おめでとうございます!!健康第一、体に気をつけて頑張ってください。

毎回、的外れなツイートにお付き合いありがとうございます。
どうも、書いているうちにリクエストから外れてしまいました。ごめんなさい。
拙い文章ですがお受け取りください。
宜しければ、これからもよろしくお願いします。

2014/08/06

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