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□if〜もしもの世界〜ルーシィ奮戦記
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「開け巨蟹宮の扉!!キャンサー!!」
「呼んだか?エビ。」
「あたしの髪の色をピンク色に変えて、化粧も大人っぽくよろしく!!」
「了解エビ。」

キャンサーがルーシィを手際良く、Aラインロングのスタイルに前髪のアクセントでロックっぽさをプラスして、毛先にカールを付けるとキュート&ロックな髪型に仕上がった。
変身(?)している間、これからの計画を練っているのか、面白いほどの百面相を披露している。そんな姿に仲間達は巻き込まれまいと遠巻きに彼女を見守っていた。
ルーシィは、触らぬ神にたたりなしと傍観しながらテーブルで魚を食べていたハッピーを捕まえると、問答無用に魔法で桜色に染められる。

「酷いやルーシィ!?なんでピンクなんだよぅ!!おいら男の子なのにぃ…しかもリボンまで…」

シャルルに見られたら生きていけない…なんて言っているハッピーの嘆きは華麗にスル―され、今度はバルゴが喚び出すとギルドの奥の部屋へと入っていった。
エルザとグレイがこっそりとついていき、どこからかコップを取りだしドアに押し当て中の声を拾おうと息を潜めた。

(ちょっと苦しいよバルゴぉ)
(姫我慢してください。でないとお仕置きですか?)
(その流れ分かんないから!!うえええ…)

苦しむルーシィの声が聞こえ、慌てて二人が中に入ると、そこにはキョトンとした表情のルーシィがバルゴにさらしを巻かれている最中だった。


――――――

エルザはグレイを部屋から蹴りだすと、ルーシィのさらしを丁寧に巻き始めた。バルゴはそれを見届けると「お仕置きはまた後日。エルザ様後は宜しくお願い致します。」と言葉を残し、深くお辞儀をすると星霊界に還って行った。

「よし、これなら苦しくないはずだ。どうだ?」
「うん。苦しくないのに胸が小さく見える。ありがとうエルザ!」
「で?そんな格好でなにをするというのだ。ルーシィ?」

さらしを巻き終えたエルザが詰め寄る。
所謂、蛇に睨まれた蛙状態にルーシィ絶体絶命!?と、思われたが恋する乙女は強し。
エルザの目をしっかりと見据えると、ルーシィの綺麗にグロスが塗られた口を開く。

「あたし、今からナツを尾行してきます!!」
「は?お、おいルーシィ…それはどう意味だ?」
「言葉の通り尾行です。」

ルーシィはロキが星霊として喚び出した時に着ている様な女性用のスーツを着こなしている。バルゴが持ってきた衣装だ。
鏡に姿を映しながら、やっぱあたしっ何着ても可愛いわね。と自画自賛していた。
エルザは、尾行はともかく変装してもあのルーシィ馬鹿のナツには直ぐに見破るのではないかと危惧していたが、彼女はあっけらかんと答えを出す。

「だいじょーぶ!いつもは子供子供って言われてるから、こうやって反対のイメージにしたの。なかなかロックでしょ?外見はこれでおっけい!!ハッピ――!!」

シャルルに見られたくないハッピーはテーブルの下に隠れていたが、如何せん、ピンクは目立つ。
(その辺りはルーシィは深く考えてはいなかったのだろう…)
あっという間にルーシィに見つかってしまっい、半泣きのハッピーを急かすと、行ってきまーす!と、なんとも緊張感の無い明るい声で、とあるギルドに向かって飛び去って行った。

「どこに向かったんだ?姫さんは…」
「…ブルーペガサスだ。」
「…一応聞くが、なんでだ?」
「ナツは匂いに敏感だから一夜に自分の匂いを変える香水を貰うそうだ…」
「…そんなに直ぐ出来る物なのか?」

飛び去ったルーシィとハッピーの方向をぼんやりと眺めながら、エルザとグレイは引き攣った笑顔で立っていた。

一陣の風が吹く。

『こんな事のあろうかと、一夜さんに前々からお願いしていたんです。だって、ナツを驚かそうとしても直ぐにばれちゃって面白くないんだもん。』
ぷぅ、と頬を膨らまし、なんとも可愛らしく拗ねるルーシィにエルザはなにも言えなくなってしまった。

「…そうか…」
「グレイ、ルーシィを止める事が出来なかったふがいない私を殴ってくれ!!」
「なんでそうなる!?」

血の涙を流しながら(グレイにはそう見えた)力説をするエルザに、とっくの昔に服を脱いでいたグレイは頭を抱え、大きな溜息を吐いた。

続く
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