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□if〜もしもの世界〜二人の日常
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ある日の夕方
「……また不法侵入しやがって、しかも俺のベットで寝ていやがる…いい加減…」
ハッピーを胸に抱き込み、気持ち良さそうに眠る1人と1匹を叩き起こそうと布団に手を掛けて気が付く。
ルーシィは律儀にも上着脱ぎ、キャミソール一枚で堂々と眠っていた。
横を向き、身体を丸めて眠る姿はまるで猫のようだ。とナツは思った。
むき出しの肩が視界にはいると、ナツは身体を屈め口を開き、むき出しのルーシィの肩に尖った牙で思い切り噛みついた。
「ぎゃあああああっいたーーーーーーっっ!?」
あまりの痛みにルーシィはハッピーを放り投げ、飛び起きる。
ゴツンと鈍い音と共にハッピーが床に激突した。
飛び起きる寸前にナツはルーシィから素早く距離を取っていた。
「お前らまた不法侵入か?」
「いたたたたたたたた、アイアンクロウはやーめーてー!?」
ナツの拘束から逃げ出したルーシィはベッドにうつ伏せる。
「酷いナツ。あたしが何したっていうのよ?」
「…シナを作るな…ほう、教えて欲しいか?」
「……や、やめておきます…ナツさん怖いです…」
「自覚はあるんだな…一応」
「おいらを投げるなんて酷いやルーシィ!見てよこのこぶ!!」
おでこのタンコブを擦りながら、ハッピーはルーシィの胸に飛び込む。
「ごめんねハッピー。なんだか肩に激痛が走ったみたくて。」
「えーどこどこ?うわーこれって噛まれた痕みたいだよ?しかもくっきりと!!」
「え!マジ!?うそうそなんで?」
「まさかナツ…ルーシィを食べようとしたの?」
ハッピーが目を三角にしてニマニマと笑っている。
「そんなわけあるか。頼まれても色気の無いルーシィなんか食わねーよ。」
「えー?怪しいなぁ?だってこれどう見ても牙の痕もあるよ!?」
「…」
「まままままさか、ななナツがあたしを…?」
真っ赤になるルーシィはまるでゆでダコのようだ。
「はぁ、俺じゃねえ、それはハッピーのせいだ。」
「はい?おいらが?なんで?」
「俺が起こす前に『おさかなあーーーー!!』とか言ってハッピーがルーシィの肩に噛みついてたぞ。」
しん…と静まり返る。
「ハッピー…」
「え?おいら?だって記憶にないよ!?そりゃお魚食べる夢は見てたけど……あれ!?」
「やっぱりあんたじゃないーーーーー!!」
「うわーーん!!ごめんよールーシィーーー!!」
「許さないんだから――!!」
ドタバタとナツの家を駆け回るルーシィとハッピーを眺めながらナツは浅くため息を吐く。
家を破壊される前に、1人と1匹を捕獲すべくナツは腕を伸ばした。
(だからって普通痕の大きさでわかんねーか?ま、ルーシィだから無理か…)
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