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□if〜もしもの世界3〜ルーシィ
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「どうしよう…ママとはぐれくちゃった…」

大きな街に母親と観光に来ていたルーシィは、見るものすべてが珍しく夢中になるうちに迷子になってしまった。

「うぇ…ママぁ…」

慣れない街で母親を探しているうちに、いつにまにか裏路地らしきところに迷い込んだようだ。
ルーシィは背後から自分を追いかける存在に気が付き、角を曲がったと同時に走り出す。


次の角を曲がった瞬間に、何かにぶつかり転んでしまう。




「痛ったぁ、ちょっとあんたどこ見て歩いてんのよ!!あー膝擦りむいてる。うう。」
「……」

あまりの剣幕にあっけにとられていた少年だが、自分と同世代ほどのルーシィに異様な警戒心で睨んできた。

「知るかよ。お前も走ってんのが悪りいんだぞ。」
「なによ、あんたは下見てたじゃない。」
「なんだと、そんじゃ謝んよ。すんませんでしたー」
「ちょっと!!なによそれ!?誠意が感じられないんだけど?」
「なら、お前も謝れよ。」
「じゃあ、よっく聞きなさいよ?ゴメンナサイ」
「なんだよその棒読みは!そっちのが誠意感じねえぞ!?」

転んだままの状態でよくわからない謝り合戦が繰り返される中ルーシィは、すくっと立ち上がる。
右足に痛みが走り、うずくまると少年が覗きこんでくるのが分かった。

「っ!最悪…足首痛い…」
「…お前、足痛てえのか?」
「え?いいい痛くないわよ!ほら!!あ、痛っ…」
「やっぱ痛てえんじゃねーか…ほらよ」

少年がルーシィに背中を向けしゃがみ込む。

「え?」
「乗れよ。行きたいとこまで運んでやる。」
「で、でも…」

ルーシィは、ほれほれと急かす少年と痛めた足首を交互に見つめ、意を決して緊張しながらも少年の背中におぶさった。
思っていたより温かい背中の体温にルーシィの緊張が解れていく。

「…ごめんな。俺が前よく見て無かったからさ…」
「ううん…あたしも前をよく見てなかったから…ごめんね。」
「いあ、お前は怪我しちまっただろ?俺は無傷だし、俺のが悪い。」
「それはそうだけど、あたしだってあんな狭い道を走ってたのが悪いし…」

俺が、あたしがと再び謝り合戦が勃発かと思われたが、突然二人はニカッと笑いあう。

「かかかっ!!なにやってんだか!?俺達は」
「あはははっ、ホントだね。ふふふ。あ、そこ右の階段登って。お願い!」
「おう!まかせろ!!」

少年はルーシィを背中に乗せているというのに軽快に階段を登る。

「あたしルーシィ!!あんたは?」
「俺は……」



















「ルーシィ!!」


ルーシィの意識が浮上する。


「っ、ルーシィ!!」

「ナ、ツ…」


再度、名を呼ばれ懸命に瞼を開けるとそこには、会いたくてたまらなかった、大好きな桜色の彼が居た。


続く

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