text

□if〜もしもの世界〜交差
1ページ/1ページ

ぺちぺちぺちぺち


多分、朝だろう。
ナツの瞼裏に微かに光を感じる。
だが、額に感じる軽い衝撃はなんだ?と、確認をするためにうっすら片目を開くとそこには金色の頭と青色の頭が見えた。
無邪気な笑顔に軽くイラつき、右手で金色を左手で青色にアイアンクロウをお見舞いする。
勿論手加減はした。

「近え…」
「「いたたたたた!いたーい!!」」

金色の頭はルーシィ
青色の頭はルーシィの相棒の猫(多分猫)のハッピー


一人と一匹の頭を鷲掴みにしながら起き上がり、その際にベッドの足元に放り投げる。
「酷―い!乙女にそれはないんじゃないのー!」だの「痛いや、おいらに乱暴するとルーシィが黙っちゃいないよー!!」とさけんでいるが、ナツは完全無視。

「なんでお前らが俺ん家居んだ?つか、知ってっか?これを不法侵入ってんだぞ。」
「もう、今日仕事へ行くって約束したじゃない!」
「スルーかよ…」
「もう忘れたの?しょぼいねナツ。」
「あ?誰がしょぼいって?髭ぬくぞ青猫…」
「あい、ごめんなひゃい、いひゃいナフ」

髭が抜けない程度にハッピーのそれを左右に引っ張ると面白いくらいに伸びる顔に、ナツの口元が少しだけ緩んだ。
しかし、ナツは、ふ、と頭の片隅に違和感を感じた。
うーん、とハッピーの顔を両手で挟みコネながら唸っていると紅茶のいい香りが漂ってくる。
ルーシィが自宅から用意してきたと思われる朝食がテーブルに綺麗に並んでいた。

「ナツ―ハッピー、ご飯食べよー」
「あい!ご飯ご飯!」
「朝からうるせー」

元気な呼び声に元気に答えるハッピー、気だるそうに答えるナツ。
二人と一匹の初めての朝食が始まった。

食事をしながら、ナツは先ほど感じた違和感の正体を探り始める。


初めて起こされた…
まぁ、一人暮らしだから当たり前か。
けど、いくら熟睡していたからっつーても、人の侵入に気が付かないなんてありえねぇ…
竜の五感なめんなよ
じゃあ、なんでだ?

考え込むナツの思孝を遮るかの様に明るい声が耳に響く。

「ナツ、早く仕事に行くわよ。星霊魔導士が時間に遅れるなんてシャレになんないわよ!!」
「わーったよ。うっせ―なぁ……ルーシィ」
「なに?」
「着替えんだけど、出てってくんね?それともみたいのか?スケベ」
「ああああああ、ごごごめん!!外で待ってるねーーー!!」
「くふふ。ルーシィスケベ」
「てめーも出てけ。」

再び、青い頭を鷲掴みにし、窓から外で待っているルーシィ目掛けて放り投げた。


ナツが違和感の正体に気が付くのは、まだ先の話。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ