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□if〜もしもの世界〜
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竜は居ないと言われる世界
だけど、竜に育てられた子供が、確かにいた。
「竜はいるんだっ!!俺が、滅竜魔導士の俺がその証なんだ!!」
幼い桜色の子供が、竜に教えられた魔法で大人の魔導士を相手に喧嘩を挑んでいた。
「はん。ただの炎の魔法じゃねーか。馬鹿馬鹿しい。」
子供は幼すぎた。それゆえ大人は誰も信じない。
それどころか少年をこう呼んだ。
『オオカミ少年』
時が経ち、少年はギルド「フェアリーテイル」に所属する魔導士へと成長していた。
桜色の、ナツという名の少年は誰とも関わりを持たずにいる。
ナツはいつも一人でギルドの片隅で静かに過ごしていた。
ギルドは常に騒がしいがナツの周りだけは静寂が支配していた。
その静寂を破る存在が現れた。
金の髪を揺らし、少女がナツに手を差し伸べる。
腰に付けている鍵がカチャリと音が鳴った。
「こんにちは!今日からフェアリーテイルに入ったのよ。」
「……ふうん」
「うわ、反応薄いなあ。あんた滅竜魔導士だったよね?」
ピクリをナツの眉が反応し、ぎろりと凶悪と言われている眼でルーシィを睨む。
ザワザワとギルドが騒がしくなる。
「ね!あたしとチーム組んでくれない?」
「断る…」
「なんで?あんたがフェアリーテイルに居るって聞いたから、あたしはここに来たんだよ?」
「何言ってんだ?てめー…」
怒りを露わにして、ナツは眼の前の金色の少女を威嚇する。
普通ならそこで人は逃げ出すだろう。
だが、少女は臆することなく、自分の名を告げる。
「忘れた?あたしはルーシィ。ルーシィ=ハートフィリアだよ!」
ナツの眼が驚愕により、見開かれた。
「る、ルー、シィ…」
「うん!約束守りに来たよ。だから、ナツも守ってよ?」
ナツとルーシィの約束とは?
運命の歯車が動き出すーーーーー