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□if〜もしもの世界〜ハーデンベルギア
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お約束と言うかなんと言うか…
今日もルーシィはやらかした。
レビィがギルドの古書室で調べ物をしていると、ルーシィがやってきた。

「レビィちゃんその本何?新刊?」
「あ、ルーちゃん触っちゃ駄目だよ。今ね、依頼を受けてる魔導の本の解読ちゅ…」

レビィの言葉を最後まで聞く前にルーシィは魔導の本を手に取り、パラパラと捲り始め、ピタリと止まったページが光りだし、ルーシィがその光に包まれ見て無くなる。
レビィが慌てて魔導の本をルーシィの手から取り戻すが既に遅かった。

「ここ、どこですか…あたし、また…?」

レビィの目の前には、ぶかぶかな服を着た幼くなったルーシィが、涙を懸命に堪えながら座っていた。
ルーシィは体の変化を驚くことなく、只脅えていた。そんな様子にレビィはルーシィを落ち着かせようと優しく抱きしめ背中を擦る。
レビィは魔導の本の仕様を知っていたので慌てる事はなかったが、それを聞いた仲間達は騒ぎ出す。

レビィが調べていた魔導の本には、知識がない者が不用意に手に取るとその人物の時間が戻るという呪いが掛っていた。しかも身体の時間だけではなく、記憶も身体に合わせて戻ってしまうのだ。
その呪いの解読中にルーシィに掛ってしまったという訳だった。

ミラが幼くなったルーシィに合う服を用意してくれたので、ルーシィはそれを着るとカウンターの裏に隠れてしまった。
幸いハッピーと出会った後のルーシィだったらしく、ハッピーの言葉は信用しているようなので、これまでの経緯を説明した。が、今ルーシィの置かれている状況に理解が追いついていないのか、膝を抱えると丸くなり泣き始めた。

「パパぁ、ママぁ、早く迎えに来てよ…グス…」
「ルーシィ…あのね?さっきも説明したようにね、ルーシィはのろ…魔法で身体も記憶も戻っちゃったんだよ?」
「そんなの分かんないよ…ハッピー…パパとママ連れてきてよ…空から捜せば早いでしょ?」
「ルーシィ…それはね…」

ハッピーが両親の事を告げようとしたところで、ふわりと身体が浮く。振り向くとミラが眉を下げて微笑んでいた。

「ハッピー、それよりナツを呼んできた方が早いんじゃないかしら?」
「あ!そうか!ナツなら何とかしてくれるかも。オイラ呼んでくる。」

ハッピーは翼を出すとギルドから飛び去って行く。
ナツならハッピーの声を聞き分け直ぐにギルドへ来るだろうと誰もが思い、とりあえずはルーシィの事はミラに任せ、仲間達は静かに見守る事にした。

「怖がらなくても大丈夫よ。皆ルーシィの味方だからね。ジュースは好き?」
「…」
「え、と、ヨーグルト食べるかしら?いろんなフルーツソースあるわよ?」
「……たべる…」

今まで返事はおろか、膝を抱えて動かなかったルーシィが、ヨーグルトに反応して怖々だがミラの手からそれが入ったグラスを受け取った。
表情は硬いままだが、次々にスプーンが口に運ばれる様子にミラは安堵した。

ルーシィの戻った時間は外見からして、おそらく5年程だと思われる。時々話すナツとの想い出の中の彼女は子供らしいく、明るく人懐っこい少女だったと感じていたミラは首を傾げた。このルーシィは人に恐怖心があると感じられたから。

(まあ、確かに今日は強面のメンバーが多いって言えば多いんだけどね。)

ミラはルーシィが怖がらない様に優しく、優しく微笑み見守った。


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