ssstext

□過去拍手2
1ページ/1ページ

ナツがカウンターで明日から行く予定の仕事の計画を練っていると、ルーシィが何やら楽しそうにステップを踏みながら近寄ってきた。
ナツ的には、とてつもなく嫌な予感しかしないようだ。微かに頬が引き攣っている。

「ねぇねぇナツ!」
「何だよ。ルーシィ。」
「あのさ、こう人差し指と親指をパチンて鳴らす仕草あるじゃない?」
「ああ、あるな…。お前なんか良からぬこと考えてねーか?」
「(ギクッ)そんなことナイよ?」
「ふーん…一応聞いてやる…なんだ?」
「ありがとうナツ。こう、パチンて指を鳴らした瞬間に火が出せるのかなぁ…なんて…やだ、何でそんな蔑んだ目であたしを見るの!?」

初めのうちは普通にルーシィの話を聞いていたナツだが、(ナツにとっては)くだらない内容に呆れて物も言えないでいた。
ナツの冷たい視線に耐えきらなくなったルーシィの目線が宙を漂い始める。

「………誰の入れ知恵だ?」
「えーと、誰でもナイよ?」
「じゃ、俺の目ぇ見て話せよな。」
「…怒らない?」
「返答次第だな。」
「えへ、マックスだよ。」

怒られないと思ったのか小首を傾けて、にっこりと笑顔を見せるルーシィにナツは軽く頭痛がしてきた。
しかし、予期していなかった人物の名前にナツの声色が低くなる。

「あん?何でマックスの名前が出てくんだ?」
「怒らないって言ったじゃない!?ナツの嘘つき!!」
「嘘はいってねぇ!返答次第だとは言ったがな。」
「あうぅ〜、だってーパチンてして火が出たら格好いいなぁ…なんて話していて、ナツならできるかなぁ、なんてね?」
「……」

ルーシィは自分の指を鳴らそうととその動作をするが、空しく乾いた音しかしない様子に唇を尖らせる。
盛大な溜め息と共に、ナツが右腕をマックスに向かいつきだし、パチンと指を鳴らすと細い炎の線が走るのがをルーシィが確認した瞬間、標的になってしまったマックスが爆発音と同時にぶっ飛んだ。
その様子にルーシィが飛びあがって喜んでいた姿にまたもや溜息が出そうになったが、ナツは喜ぶルーシィの為に我慢した。

簡単に指先に炎をともす事が出来るナツにとって着火作業など不必要なだけで、面倒くさい事をルーシィに吹き込んだ人物を、少々の腹いせから爆風と爆発音が派手なだけの魔法で吹き飛ばしたという訳だった。

「満足したか?」
「ナツ格好いい!!凄い凄い!!ねえねえ、どうして出来るのに使わないの?」
「滅竜魔法としては全く実用的じゃねーんだよ。無駄な動きは必要ねえ。」
「えー?そうなんだ。」
「そうだ。」
「じゃあ、仕方ないね。」
「だろ?」

一度は納得した(させられた?)ルーシィだったが、思っている以上に格好かったナツを目の当たりにした彼女に、実用性がないと言われても我慢が出来るはずもなく…
指先をトントンと打ち合わせながらナツを見上げる。
ルーシィの上目使いにめっぽう弱いと自覚があるナツは、目線を少しだけ横にずらす。

「うん!あ、でも、たまには見たいなぁ…なんて…」
「…気が向いたらな…」
「ありがとうナツ!!大好き!!」
「そりゃどうも。」

カウンターに座るナツにルーシィが飛び付き、バランスを崩すが片腕で支え、体制を整えると何事も無かったように仕事の話を始める二人。

―――リア充爆発しろ!!
―――くっそ、あんだけ形がムニュンて変わるってどんだけ押しつけてんだよルーシィちゃんはよ。
―――柔らかいんだろうなあ。いろいろと…
―――ちくしょう、ナツめえ…俺と場所変わりやがれっての!

独り身の男性陣の歯ぎしりがナツの耳に聞こえる。
ナツは少しだけ考えると、ルーシィには爽やかな笑顔を、男性陣には黒い笑顔を見せた。

「ルーシィ、もう一回みたいか?」
「え?いいの!見たいみたい!!」

喜ぶルーシィを横目にナツは指を鳴らす仕草をする。


ほにゃららの錬金術士誕生? 今日のギルドはそんな感じ。


おしまい


部屋を掃除中についつい読みふけってしまった漫画で思いついた話。
もしも知らない方がいたらごめんなさい。
拍手ありがとうございます。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ