BOOK 弱虫ペダル
□金城×巻島01
1ページ/1ページ
巻島の髪は綺麗だな。
そう言って金城が触れてくるたび、嬉しくなる。
別に金城のために伸ばしてるわけじゃねぇけど、それでもそう言ってもらえるのは嬉しい。
退屈な授業を聞き流しながら、金城の指を思い出しながら摘んだ毛先を揺らしてみる。
男らしく硬い指先は、無骨に見せかけて優しい。
それこそ、情けなくも泣き出しそうになっちまうくらいには。
感情表現が苦手なオレを包み込んでくれるのは、器の大きさだろう。
素直になれずに、何度もひどいことを言っちまったこともあるのにな。
ふと思い出して、制服のポケットから出したシュシュで髪を結った。
手先の器用な金城が作ってくれたものだ。
別にこだわってるわけじゃねぇんだけど、金城が好きだと言ってくれるから――
なかなか切れねぇんだよな、この髪。
END
2014/05/29