BOOK 黒子のバスケ2
□青峰×黄瀬01
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ガタン、バシャ、とキッチンに相応しくない音がして、ボウルの中のものが飛び散った。
そして何故かそれらは先程から狙ったようにオレの顔に当たるのだ。
「あーもー! 何でなんスか……ッ」
何度目か分からない失敗に苛立って、大きく息を吐く。
傍らのタオルを手に取るが、何度も飛び散ったものを拭ったせいできれいな部分がない。
「青峰っちー、新しいタオル取ってほしいっスー」
リビングのソファに寝そべってグラビア雑誌を読む青峰っちに声をかけると、自分の声は思ったより情けない色を含んでいた。
「あ゛!? またかよ……」
しゃーねーなー、なんてブツクサ言いながらだけどもちゃんと取ってきてくれる青峰っちは、きっと優しい。
「ほらよ、……ッ!?」
「あ、ちょっ、笑わな……」
拗ねて紡いだ言葉は途中で消える。
青峰っちが、オレの頬っぺたを舐めた。
「粉っぽくて、マズイ」
「そりゃそうっスよ!! ホットケーキのタネ、焼いてないの舐めるとかアンタ馬鹿っスか!?」
「はぁ!? 誰が馬鹿だ」
「青峰っち以外に誰がいるっていうんスか」
はぁ…と溜息を漏らすオレを、青峰っちは数センチ上から見てる。
何故か熱い視線に不審を抱いて見返すと、青峰っちは耳元に口を寄せた。
「それ、顔射みたいでエロいな」
「な……ッ」
「勃ったから責任取れ」
言うなり、青峰っちが唇を塞いでくる。
ぽっかりと開いた口唇に、舌がねじ込まれた。
絡められた舌を追いかけるのが精一杯で、口端から零れる唾液を飲み込むことすら出来ない。
「んん……ッ」
敏感な口腔粘膜を舌先で刺激され、オレはすっかり息が上がってしまう。
いつの間にか緩く勃ち上がっていた分身に、とっくに熱くなっている青峰っちのが押し付けられた。
「ヤベェ……」
唇を離してから、青峰っちが小さく漏らした吐息。
涙の滲む視界で見遣れば、青峰っちは獣の瞳をしていた。
途端にズクンと甘く疼く下肢。
脳裏に浮かぶ前回の情事を思考の隅に追いやりたい。
「きせ、」
あっ、と思ったときには躰がひっくり返されていた。
作業台に押さえつけられて、頬に触れるステンレスが冷たい。
下半身の服をストンと落とされて、両手を植物油で濡らした青峰っちが嗜虐心剥きだしに笑う。
それだけで熱い躰がさらに熱を持った。
「あおみねっち、」
掠れた声で愛しい名を呟くと、青峰っちは無言で中指を秘孔に突き立てた。
「ひッんぐぅ…ッ」
嗚咽の混じった声に気を良くしたのか、青峰っちはオレのイイトコロを狙って指を進める。
負担を軽減するために昨日自分で弄った孔は、易々と指の侵入を許した。
あっという間に2本目3本目を含まされ、切れやしないかと危惧するが、床に滴るほどの油でなんとかなっているらしい。
「ん、はァ……、ぉみね、っち…」
吐き出す言葉が艶を帯びる。
張り詰めた陰茎の先が、シンク前面のツルッとした板に当たって息を呑んだ。
背後で青峰っちがクッと笑い、わざとイイトコロを外して指を動かす。
「無機質なモンでも感じんのかよ」
嘲るような声。
オレは耳元で告げられたその言葉にすら感じてしまって、先端から先走りの蜜を零す。
「あ、お、みねっちのが、一番……」
「えっろ」
腰を揺らしながら振り返って言えば返事がこれだ。
ジッパーを下ろす小さな音が、オレの耳に届く。
これからされることに、胸が期待で波打った。
「やるよ」
低い声が耳を侵す。
秘孔に宛てられた青峰っちのは、いつもより大きい気がする。
粘膜に逆らって、青峰っちのが押し入ってくる。
大きく張り出したカリのところで少しだけ引っかかって、そこを通り過ぎたら勢いよくオレのナカを割り開く。
切っ先が前立腺を刺激して、堪えきれずに迸った精液が銀色の板を白に上書きする。
「ああ……っ、――はァ……」
「一人で勝手に終わった気になってんじゃねーぞ」
青峰っちが腰を掴み、快感の余韻で蠢く内壁の間を行ったり来たりする。
それが的確に前立腺を穿っているものだから、オレの陰茎はまたすぐに力を取り戻した。
ゴツい指が尿道口を広げるように動き、堪らずオレは2度目の射精を迎える。
1拍遅れてナカで青峰っちが達し、最奥を濡らされる。
「はぁ…はぁ…」
全身の力が抜けて、オレは作業台に突っ伏した。
押し倒されたときは鳥肌が立つくらいに冷たく感じたのに、今はこの冷たさが気持ちいい。
ナカでまだ硬度を保ったままの青峰っちがモゾリと動く。
「ちょッ、もうやらないっスよ!?」
「あ゛? …1回で足りるか。オマエもまだイケんだろ」
そう言って青峰っちは握りこんだオレのものを軽く扱く。
管の中に残っていた精液が小さく飛び出し、青峰っちは満足そうに笑った。
「本気で無理……ッ」
抗議の声は喘ぎ声に上書きされる。
ホントに無理だと思うんスけど。
現に膝からは完全に力が抜けてしまっている。
それなのに奥を突かれて、浅ましい躰はすぐに反応を示す。
青峰っちの手に握られたままの陰茎は緩く天を仰ぎ、弱い射精を繰り返した。
床に溜まった精液の量は小さな水溜りと言っても過言ではないほど。
「く……ッ」
ナカに再び大量の精液をぶちまけられたとき、オレはこれでやっと終わったと意識を手放した。
END
2013/06/19