BOOK 黒子のバスケ2
□虹村×氷室01
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「誕生日おめでとう、シュウ」
いつものようにアレックスの指導をタツヤと一緒に手伝ったあと、ワンオンワンをするかと誘った外のコートで呼び止められた。
絵のように整った顔で微笑まれて、差し出された小さな紙袋を、ぎこちなく受け取る。
そういや、去年もこんなふうに驚かされたんだったっけ。
渡米直後に知り合ってすぐに打ち解け、新居とそこそこ近かったこともあり、その後何回も会った。
スクールも偶然か知らないけど同じで、やや緊張しながら行った初日に見知った顔を見つけ、お互いにビックリしたものだった。
「安物で申し訳ないけど、シュウに似合うと思ったんだ」
「気にするのは値段とかじゃねーよ」
並んで2つあるベンチの1つに座り、やや汗で湿った髪を撫でてやる。
アメリカへ来て1年程度で、オレの身振りは大げさになったと思う。
やっぱこういうのは、周りの人間の影響とかあるのか。
シュウはアメリカ人ではないが、父親の仕事の関係でもう10年近くアメリカにいるという。
流暢な英語は、ぎこちないオレのとは違い、アメリカ人となんら変わらない。
「自分でも忘れていた誕生日を祝ってくれることが嬉しいんだよ、タツヤ」
「ふふ。オレだと思って、バスケをする時以外、肌身離さず着けておいてくれ」
タツヤの細い指が、一度オレの手から包みを取り上げ、口を止めていたテープを外した。
取り出したブレスレットを、丁寧な手付きで左の手首に着けられる。
いいな、これ。
オレの趣味に合ってる。