BOOK 黒子のバスケ2
□日向×リコ02
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バスケ部に入ってくれないか?
あの変な大男の声が、家に帰ってもずっと頭の中で巡っている。
嫌よ。
その場で切り捨てたのに、諦めることができない。
バスケなんて嫌いだわ。
今の中学バスケはキセキの世代ばかりで、みんなが勝つことを諦めている。
日向くんだってそう。
中学時代、一度も勝てなかった日向くんと伊月くんを、私は誰よりも近くで見てきた。
だからこそ、その苦しさも理解しているつもりよ。
それでも、勝つことだけは諦めてほしくなかった。
勝てないことで彼が苦しむのなら、いっそバスケから離れたほうがいいのかもしれない。
テッペンを取る、なんて馬鹿げたことを宣言してくれた時に、そう思った。
それでも私は、バスケをしている日向くんが好きで。
アイツなら、今日声をかけてきたアイツなら、日向くんをバスケに引き戻してくれるかもしれない。
そしたら私、なんでもするわ。
彼らに――日向くんに勝利の光景を見せるためなら。
END
2014/05/30