BOOK 黒子のバスケ2

□緑間×高尾01
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「起立、礼」

 頭を下げて、再び席に着こうとしたら、低い真ちゃんの声に呼ばれた。
 いつものように軽い笑みを浮かべて振り返ると、真ちゃんはオレの手を掴んで無理矢理立たせ、教室を出てゆく。

「ちょッ、真ちゃん!?」
「黙るのだよ」

 え何この扱い、酷くねー? などと思ったが、強く引かれた拍子に舌を噛んでしまったので、不承不承ながらも言われたとおりに黙った。

 急に真ちゃんが立ち止まった。
 広い背中にぶつけてしまった鼻を押さえながら、扉を開けて中に入った真ちゃんに続く。
 長い間締め切られていた教室の埃臭い空気が、夏の初めの気温でむわっとかき回される。

 軋むドアを音を立てて閉めた真ちゃんは、強い力でオレを奥へと促した。

「どーしたの、真ちゃん」
「少し、黙っていろ」

 うっわ、怖ぇぇ…。
 オレ何かエース様の機嫌を損ねるようなこと、したっけ?
 からかうようなことは何度も言っているが、ここまで機嫌が悪くなるとは思えない。

 空き教室の一番後ろまでオレを引っ張って、真ちゃんは眉根に皺を作った。

「真ちゃん?」
「…黙っていろと言っただろう」

 凭れた背中を壁から少しだけ離して真ちゃんの顔を覗き込めば、地を這うような低い声になった。

 顔の両側に勢いよく手を突かれて、思わずオレは目を見張る。

 いわゆる壁ドンの状態で、そのまま深く口付けられた。

 肉厚の舌が侵入して、好き勝手に口内を蹂躙される。
 引っ込んだ舌を反射的に追いかけると、先っちょを吸い上げられた。
 たったそれだけで、腰が砕けそうになってしまう。

 吸われて、甘噛みされる。
 ただそれだけのことなのに、小さなリップ音を立てて唇が離れていったときには、真ちゃんに縋りついて立っているのがやっとだった。
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