BOOK 幕末Rock
□土方×沖田01
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甘えたように肩に凭れかかってくる総司の肩は、薄い。
抱きしめるとスッポリと俺の腕に収まる体は、細い。
向かい合って抱きしめると、目の前で薄紫色の髪が揺れていた。
『新撰組一番隊長、沖田総司』を形作る一つである紐を解けば、長時間同じ形で固定されていたことにより癖の付いた髪が解ける。
「わっ。ちょっと、何するんですか土方さん」
「いいだろ、もう」
慌てたようにハラハラと瓦解する髪に伸びた手を、捕らえた。
もう仕事は終わりだ、だたの沖田総司に戻れ。
夜も遅い時間、朝から晩までメニューの決まっている俺たちの自由時間は、これくらいしかない。
特に副長である俺と、一番隊長である総司は、隊士たちの模範でいなければならない。
ふと、Tシャツ越しに総司の肩に口付けてみた。
俺は雷舞中のパッドが入った上着を着た肩も、今のようにTシャツを着た肩も、何も纏わずに乱れる華奢な肩も知っている。
公的な立場に縛られない束の間の時間、俺だけの特権である総司を、ただひたすら覚えこませるように、貪った。
END
2014/07/30