BOOK 黒子のバスケ
□高尾×緑間03
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妹から手渡された短冊の束から、オレはオレンジ色のものを選んだ。
オレが大好きな、秀徳と高尾の瞳の色だ。
「お兄ちゃんは何をお願いするの?」
足元に纏わりつく幼い妹を諫めながら、何を書こうかと逡巡した。
オレンジ色を見つめていて頭に浮かんだのは、恋焦がれる高尾の顔と数日前の彼の言葉。
――『真ちゃん、オレね、好きな人ができた』
――『でも、絶対に叶わない』
その時ばかりは、いつも明るく煌く高尾の瞳も翳っていて、好きな人の好きな人の話を聞かされるのと二重に苦しくなった。
オレの好きなあの笑顔が戻りますように。
そう願いを込めて書いた短冊は。
『高尾の恋が叶いますように』
END
2013/06/18