BOOK 黒子のバスケ

□火神×黒子15
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 カクン、と頬杖にした左手が滑って、首が悲鳴を上げた。
 暖かい日差しと、窓際かつ一番後ろの席。
 それに加えて、影の薄いボクは先生に気付かれない。

 欠伸が零れ出た。
 昨日遅くまで本を読んでいたせいだろうか。
 気を抜けばまぶたが落ち、船を漕ぎ出してしまう。
 最近開拓したジャンルだが、面白くてページを捲る手が止まらなかった。
 そうだ、今日は図書室でその作家さんの本を借りてみよう。

 30分後に迎える昼休みの予定を立てると、いっそう強い眠気が襲ってきた。
 こう言ってはなんだが、たかが現代文だ。
 現代文なら眠っていても、勉強しなくても、そこそこの点数は取れる。
 火神くんとは違って。

(――あれ?)

 眼を擦って前を見る。
 机に突っ伏した広い背中は、呼吸のために規則正しく上下している。
 ダランと垂れた右腕が動く様子は――ない。

 まったくもう。
 バカガミの国語担当はボクだっていうのに。

 嘆息して、シャーペンの頭をノックした。
 筆記には過剰なくらいの芯を出して、握る。

 ツンツン。

 起きない。

 ツンツンツンツン。
 ツンツンツンツン!
 ブスッ!!

「痛ってぇ!!」

 盛大な悲鳴に、同じように転寝をしていた人たちが跳ね起きて目を瞬かせる。
 もちろんボクもビックリしてしまい、手の中のシャーペンを取り落とした。

「何すンだ黒子!!」
「…つっついても火神くんが起きなかったので」

「火神くん、少し静かにね」
「……すんません」

「…お前のせいで怒られただろ」
「元々は火神くんが授業中だというのに寝ているからですよ」

 ひそひそ声での応酬。

 起こしてあげたんだから、むしろ感謝してしかるべきなのではないか?
 そう考えてしまうが、まぁ気にしないことにしよう。


END

2013/12/12

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